かきくけコラム :「本をめとらば…」03


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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

本が大好きな「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんに、本についてのあれこれをご紹介いただく3回目です。

本の世界へ

「紙の出版物、15年の販売額5.3%減 減少率は過去最大」(日経新聞2016年1月26日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25II6_V20C16A1TI1000/

雑誌、書籍がいよいよ売れなくなってきているようで、反対に若い人が始めるような、小さい古本屋さんは都市部では増えてるような印象を受けます。もしかして、10数年前から比べると、こだわりをもったような小さい古本屋さんは、3倍くらいに増えてるかもしれません。

テレビとか雑誌でも特集は良く組まれてる気がします。が、雑貨的に扱われてるのかなぁと。本の特集は文化的なものを取り上げた感はあるのですが、実際の購買にはつながっていないのじゃないかなぁと。本を置いておいたら、場所としての雰囲気が高まるように、本を扱えば媒体としてのクオリティがあがる気がするという。

つまり、演出としての本。

僕としては小さい古本屋さんはぜひぜひ頑張ってほしいのですが、本の使われ方、扱われ方、読書の意味が変わってきたのかもしれません。

最近何を考えてるの?

「最近何を考えてるの?」とう質問が出るようになればよいなぁと最近よく思います。

年末年始などによく思ったんですが、
「仕事休みいつからなん?」
「29日から」
「年明けはいつからなん?」
「今年は早い、4日から」
などは、会社のカレンダーの話であって「あなた」の話ではない。

1月1日に送られてくる、30代半ばになると急に増えてくる、夫婦2人と子供1〜2人の顔写真付きの年賀状。元々、友達(僕からするとだいたい男性)には少なからず興味はあるが、奥さんにはさほど興味はない。

あと雨後のタケノコのように、毎年どの家族からも、ポコポコポコポコ赤ちゃんが生まれてきて、もはや、顔も名前も一致しない。奥さんと、赤ちゃん生まれましたor子供の生育状況は、「あなた」にとって、周囲の大事な状況かもしれないが「あなた」ではない。

もっと「あなた」自身が何を考えて生きてるのかが私は知りたい。

「最近何してるの?」よりよっぽど良い質問だと思います。

「最近何してる」という、行為の有無を聞いたら、「仕事してる」「旅行行った」「誰誰と飲みに行った」(これは行った相手が、質問相手と共通の知り合いだった場合、割と話を広げやすい。その場にいない、その行った相手の話をすればよいし)。

何を言いたいのかといえば、割と僕は「何してるの?」と聞かれたら、困惑してしまうのです。何かはしてるけど、わざわざ話すほどのトピックはないなぁとか。本読んでます、飯食べてます、フットサルしてます、仕事してます…たぶんいずれも正解のようで正解ではない…。しかも、何を答えても、だからどうなんだというか、本当は、何を考えながら本読んでて、フットサル行く前はどんな気持ちで行ってて、どんなこと思いながら仕事してるとかが、大事なんじゃないかな〜と。

表面的には出てこなくても、毎日人間は何か考えてるし、考えながら何かやってるときも、やってないときもあるんじゃないかなぁと。コミュニケーションにおいて、外側に出た行為(三宮に買い物に行った、山に登った、仕事で出張にどこそこに行ってきた)などを聞くより、よっぽど「最近何考えてんの?」という質問の答えの方が、その人の本質に迫ってる気がするし、意味もあると思う。

意味のあるのかないのか、本人にとってほんとに大事だと思ってることなのかどうかわからない、外側のトピックについて話すより、僕は、「あなた」が最近何を考えてるのかが知りたい。

その考えることの伴走者を、書物は担えるんじゃないのかな〜と。
あとは人でも。
書物と人。
でも書物は人が書いてるから、結局は同じかもしれませんが。

本を読んで、自分に向き合い、自分のことを考える時間を能動的に作るのは、良いことなんじゃないかなぁと。スノーボードやバーベキューなどの、目の前のリア充イベントも楽しいですが、自分が豊かになる方法として、遠回りですが、読書は良いと思います。読書は自分の根幹をしっかりと固める事業だと思うのです。

そして、本を読んでるときは、今の周りの人達から嫌われる自分になりましょう。変わるということは、気づく、ズレる(今までの自分と)ということです。

また、街に出た際には、自分のことだけ考えながら、是非本屋さんで立ち読みしてみてください。

03の本 -1「あしたから出版社」島田潤一郎

発売日: 2014年06月
著者/編集: 島田潤一郎
出版社: 晶文社
サイズ: 単行本
ページ数: 288p
ISBNコード: 9784794968517

03の本 -2「失われた感覚を求めて 地方で出版社をするということ」三島邦弘

発売日: 2014年09月
著者/編集: 三島邦弘
出版社: 朝日新聞出版
サイズ: 単行本
ページ数: 272p
ISBNコード: 9784022512116

本の紹介ですね…

今回は出だしに小さい古本屋さんの話が出てきたので、その流れで、三島さんと島田さんの本の紹介を。

2人とも小さい古本屋さんではなく、小さい出版社(三島さんは京都のミシマ社、島田さんは夏葉社)なのですが、まぁ既存の出版業とはまた違ったアプローチをしている2人なので、良しとして…

三島さんは実際に会うと、かなり饒舌な方らしいのですが、島田さんはたぶん自分自身のことが嫌いだった人です。小規模な書店業界では、この2人の登場回数はかなり多く、2冊とも内容は面白いです。

2冊とも、自分の小出版社を立ち上げた話がメインですが、かなり自分自身の弱みや、経営上のお金のことなどもさらけ出して書かれてます。島田さんの方が、はかない感が強く、読んでると、この人大丈夫かな…?と思うくらいの人物像ですが、だいぶ前にNHKの爆笑学問にも出演してたので、大丈夫でしょう。

どちらも、読後感は悪くありません。半農半X的な空気感も流れてるからだと思います。どちらも半農ではありませんが…

出版物を通して、己を知ってもらう、会社のことを表現するというより、個人のキャラクターが先に押し出された形になってるのが(ご本人が意図的にそうしてるかはわかりませんが、ネットやfacebookなどで店主情報が散布されまくるので、そういうイメージを持ってしまうのかもしれません)、一昔前の出版社の形態とは違うかもしれません。

そうしないと、ただの出版社では生き残れないからなのか、自分探しうんぬん、個人を重んじるという空気感の時代だからかわかりませんが、出版物より(もちのろん、出版物もそれぞれ良本です)、店主のキャラクターが前に出てきているのは、特徴的です。

おそらく、岩波書店、ちくま書房、草思社、水声社、青土社、新潮社、福音館書店、会社の規模が大きい、社歴が古いという理由もありますが、誰がどういう意図をもって創業して、今、どういうことを考えながら、書籍を世に送り出そうとしているか、それを知ってる人はほとんどいないと思います。

ミシマ社、夏葉社はほぼ等身大の人間が見えている。
どんな人がどんな思いで、この作品を送り出そうとしてるのかがわかるのが、過去の出版社とは違う、この2人の出版社の特徴だと思います(あ、見城徹さんの幻冬舎は、社長のキャラクターが前面にでてますね…)。

本は2冊とも、姫路伊伝居のパーランドコーヒーさんにあります。現在は貸出不可ですが、よろしければ、手にとって頂けたらと。
あと、姫路城近くの、おひさまゆうびん舎さんは、夏葉社さんの本をよく扱ってると思います。

「ブックブックこんにちは」始めます!

本好きの2人、トキシラズ店主と陽文庫の僕で、本に関するイベント「ブックブックこんにちは」を始めます。第1回目の2月28日(日)は、本にまつわるあれやこれを、心向くままに話します。

ちなみに2人は人前で話したことはありませんが、すたれていく活字カルチャーに、せめて小石だけでもぶつけときたいとの義心から、とりあえず今回、忠臣蔵とはほのかに関係のない相生から、一声あげることにしました。

どうぞ皆さん月亭四方八方から、悩み、疑問、失笑、相談など浴びせてください。

1000円 で1ドリンク1ブック(文庫本)つき。

くわしくは、てくてくひめじの紹介記事をご覧ください。


追伸
次からは、相生のトキシラズ山本君との、交代コラムになるかもしれません。1人が一方的にオススメの本などについて語るより、2人の方が、本について多角的に見れて、良いかもしれないと思ったので。好きなジャンルはたぶん違いますが、引き続き、また駄文読んで頂けたら幸いです。


文:みずいけあきら(陽文庫)
Facebook 陽文庫-アキラブンコ

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公開日 : 2016-2-3
最新更新日 : 2016-6-1