かきくけコラム :「イマハ、ドコデスカ?」04


imaha

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。

第4回目「『うつくしい』をつくりだすこと」


あなたはこの写真をみて、一体なにを思うだろう?
田舎の景色?どこの地域の写真なのだろう?なんてことない景色・・・?

ここはヒマラヤの奥深く、標高4000mを超えた世界・ラダック。
本来、木も生えることのない過酷な地で、人々が何世代もの間手をかけ、つくり育てられた景観です。ピンとこない方には、まず、身近に標高が4000mを超える世界を想像してみてほしい。日本でいえば、富士山よりも高い世界。富士山の頂上付近には、植物や木々が生息しているだろうか?ひとは暮らしているだろうか?そう考えるだけでも、この写真にうつる世界がどんなに過酷な環境にあるか、分かってもらえるのではないかと思う。

わたしは以前、標高4000mを優に超えた、半年は雪でまわりの世界と閉ざされてしまう過酷な地で、今もなお、昔ながらの生活で暮らして生きている人たちに会うためにこの地を訪れた。雪がない時期であっても、朝晩はマイナスの世界となり、昼間はどんどん温度が上昇し、乾燥して肌がカサカサを超えてバリバリになる。まともな電気もなければ、水道もない世界。そこで彼らは、どうやって生きているのか、実際にわたしは一緒に生活しながら、彼らが何世代にもわたって受け継いできた幾つもの知恵に触れることになる。

何世代も先のことを想うこと

先ほども少し述べたように、標高が高いこの地域では、いわゆる森林限界と呼ばれ、木々が自生することが難しい。加えて、ここには水が豊富にあるわけでもない。土壌が優れているわけでもない。そこで木や植物を育てることは、とてつもない苦労がある。早朝から村にある湧き水場まで水を汲みに行き、まず木々や動物たちに水を与えることからはじまる一日。何往復も水を担いで標高が高い地域を歩くのは重労働際まりない。

では、木を例えに・・・彼らはなぜ、この場所で木を育てているのだろう?ただのオシャレや景観で育てているのだろうか?料理や暖をとるための燃料にするためだろうか?わたしは、なぜ木を育てているのかを尋ねた。すると「この木は、次の世代、あるいは次の次の世代の人が家をつくる際に必要になるからね。そのために今こうして育てているんだよ」と教えてくれた。たしかに、どの家も完成とは言えない造りで、増築を繰り返しているような佇まい。彼らは、ゆっくりと次の人たちが繋げてくれたらそれで良いんだよ、と笑っていた。なにより、何世代先のことを当たり前に考えて行動していることをさらっと言われ、本当にびっくりした。

ゆったり流れる対話のなかで、彼らがいつも、他人を想いやり、生きとし生ける全てのものを敬う優しさをわたしは何度も目にした。目の前のことだけでなく、見えない先の未来のこと、次世代に生きる未来を見据えて生きていること、それらをずっと続けていく持続性・・・彼らにとっては当たり前のように行われていることが、どんなに難しいことかわたしは知っている。何世代にもわたって創り上げられたこの景観のなかには、たくさんの人の知恵と愛情が溢れている。そのような人が、手でいちからそこにあるもので創り出すあたたかい世界を、わたしは「うつくしい世界」だと感じたのです。

いちからつくること・繋げていくこと

いま日本では、ものを簡単につくったり壊したりすることが日常で行われている。壊して元に戻るものもあるかもしれないが、山や自然のように、一度壊したら元に戻すことが困難なこともたくさんある。そのなかで、もう一度、懐かしい昔の景色を人の手でいちから創り出すということは、容易なことではないと思う。

わたしたちの未来は、一体どんな景色が残っていくのだろう?と、削られていく山々や、コンクリートで覆われた大地や建物をみて、時々ふと思うことがある。きれいごとと思われるかもしれないけど、わたしは「うつくしい」と思う景色を後世にどうしたら残すことができるのか、次の世代に繋げることができるのか、いま姫路のとある山で仲間と試行錯誤をしながら少しずつ行動し始めている。遠い未来のこと、見えないものまで考えることは難しいにせよ、自分たちの子供や孫・その先の世代の人に美しい景色を残し繋げていけるよう、いま一度立ち止まって真剣に考え、今からでもゆっくりわたしたちの暮らしかた、考え方を転換する時期に来ているのではないだろうか。

今年は少しずつ、こういう対話が気軽にでき、一緒に行動できる仲間が増えたらいいなぁ、声をかけてもらえたら嬉しいなぁと思いつつ、今年はじめの文章はおわり。

わたしの拙い文章を読んでくださる皆さま、どうもありがとうございます。ゆっくり思うことを述べながら日々精進したいと思います。今年もゆるり、どうぞよろしくお願いします。

文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎 http://ameblo.jp/katuragimanabiya/

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公開日 : 2017-1-4
最新更新日 : 2017-1-2