かきくけコラム :「イマハ、ドコデスカ?」05


imaha

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。

第5回目「自分で生みだす、素朴な魅力」

この写真は、わたしが学生のときに撮ったもの。インドで出会った子供たちで、駅のホームをさまよいながら物乞いをしていたストリートチルドレン。こういう書き方をすると「貧しさ」が際立つかもしれないのだけど、その価値観を一旦横に置いて、まず、真ん中にいる少年が持っているものに注目してみてほしい。

おもちゃのクルマ

わたしが初めて彼らと出会ったのは、駅の改札口。彼らは会うなり、わたしにマネーマネーと言い続けたが、お金を渡すこともできないので、その場を立ち去ることしかできなかった。けれども幾時間も遅れた電車を待つことになったわたしは、駅で暮らしているだろう彼らと駅のホームで再会した。今度は、自分たちの居場所でじっと座っていた。わたしはたしか、お菓子を食べながら電車を待っていたと思う。チラチラ目が合うものだから気になって「食べる?」と声をかけてみると「食べる」と言いながら近寄ってきた。そして、わたしは名前を聞いたり世間話をしたりして、電車が来るまでの間、彼らと一緒に時間を過ごした。

彼らと話している最中、ひとりの少年がなにかを大事そうに持っていることに気が付いた。よくみると、ペットボトルとサンダルの草履の裏で上手につくった「クルマ」のおもちゃだった。びっくりして「みせて!だれが作ったの?」と尋ねると、自分でつくったと恥ずかしそうに話す少年。本来「ゴミ」と思われるものでつくられたクルマという作品を、少年は大切に持っていた。食べるのにも、生きていくのにも毎日やっとの彼らにとって、おもちゃを買うお金はないと思う。だけど、そこらにあるものでつくって生みだした彼の創造力に、わたしはとても感動した。そして、どんな環境や状況下に置かれても、創造することは平等で自由なんだなぁと感じ、身の周りにあるもので新しいカタチを生み出す力を持っている少年が、格好良く思えたのだ。初めて会ったときは笑うことさえなかった彼らが、クルマのことを説明しながらみてくれた無邪気な笑顔を、わたしはきっと忘れないだろう。

豊かな心を育むこと

今は、ものが大量生産されどんどん消費される時代となり、日本では、お金を出せばどんなものでも手に入るようになった。それは本当に物質的に便利で豊かであり、とても贅沢で、恵まれていることだと感じる。だけど便利さに頼って、買っては捨てることの繰り返しのなかで、少年のように、身近にあるもので生みだす素朴な魅力に気づくことができれば、この循環がゆっくりと変化するのではないだろうか…と思ったりしている。

わたしは、あのとき少年から学んだ「創造の自由」を、今の暮らしのなかに取り入れることが出来れば、と考えている。例えば、生活雑貨や子どもたちが手にするおもちゃ。正規のものやわざわざ買った材料がなくても、生活のなかにある身の周りにあるもので生みだすことができるんじゃないかなぁ…と。これは選択肢のひとつとして捉えてもらいたいのですが、ものにお金を出して手に入れることは簡単だけど、あえて、身の周りにあるものを自分でつくること・工夫しながら新しいカタチ生みだすことを選んでみてはどうでしょう。容易ではないかもしれないけれど、ものをつくる過程や、カタチに仕上がる喜びやぬくもりを自らが感じることで、いま私たちが忘れてしまっていること…ものを大切にしたり、新しいカタチを生みだす楽しさや豊かな心を、ゆっくり育むことができるのではないでしょうか。

なので、もし、これから新たになにかを買う機会があれば、良かったらあたりを見まわし、身の周りにあるものでつくることができないかと、一度立ち止まって考えてみてもらえると嬉しいです。自分の創造力で新しいカタチを生みだすきっかけを自分でつくる。(わたしのエゴかもしれないけれど)その時間って、豊かで素敵だなぁと思っています。

文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎 http://ameblo.jp/katuragimanabiya/

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公開日 : 2017-2-1
最新更新日 : 2017-1-31