毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
毎月第3週目の新しいコラム「くらしとしごと」が新しくスタートします。書いてくださるのは、神河町長谷でコワーキングスペースkajiyanoを運営する山口なおさんです。
プロローグ
ごあいさつ
みなさん初めまして。兵庫県神河町でコワーキングスペースkajiyanoを営んでいる「谷間の家さんきら」の山口なおです。
世界にはひとの数だけ「くらしとしごと」があります。それらは年齢を重ねたり、パートナーや環境の変化、また人生のステージによって形を変えていくもの。当たり前にあるひとりひとりの「くらしとしごと」に焦点を当ててみることで、生き方のヒントを得たり、人生の選択の幅を広げたりすることができるのでは。そんな思いで、お話を聞いてみたい人をゲストにお招きし、毎月第2土曜日にトークセッション形式のイベント「くらしとしごと」を開催しています。
その開催レポートや次回イベント内容について綴っていく予定ですので、どうぞお付き合いくださいませ。
私のくらしとしごと
私は姫路生まれ姫路育ちで、大学から関東で8年過ごしました。アジアが好きだったこともあり、卒業後タイ古式マッサージを学び、都内のホテルや老人ホーム、産婦人科でのリラクゼーションを仕事にしていました。
2011年姫路に帰省。空き家になっていた神河町長谷の祖母宅(苔庭付きの離れ)を見て、「自然の力も借りて、ここでリラクゼーションを始めたら私も訪れた方も心身ともに癒されるのでは」と2012年「谷間の家さんきら」をオープンしました。当時は予約が入れば姫路から通うスタイルで、まさか結婚してこの場所で暮らすことになるとは思っていませんでした。
そして2014年結婚。主人も姫路生まれの姫路育ちで、高校を卒業してから東京生活。「せっかく新しい生活を始めるならこの場所が面白そう!」と2人で長谷暮らしに飛び込みました。
主人は仕事を辞めたところだったので収入はリセット。自給自足に近い夢も持っていた私でしたが田舎暮らしといっても何かとお金は必要で、古民家リラクゼーションの仕事に起業準備中の主人の仕事(ライター等)の収入を足し上げても2人で暮らしていくだけの稼ぎはほど遠く。。。予約があれば町内のホテルへ出張のリラクゼーションに行ったり(これはよく儲かりました笑)、慣れないイベントに出店したり(これはあまりお金にならなかった・・)、日払いの農業バイトをしたり、古民家ゲストハウスのテストやバンド合宿と2人で模索しながら、「これは続けていっても良いね」「これはしたくないね」とあれこれ相談しながら2人でいろんな初めてに挑戦する日々でした。
そして長谷暮らし9か月目の2015年1月、主人が前職・広告代理店のローカル版といえる事務所を開設。さまざまなご縁にも恵まれて徐々に軌道に乗り出し、2016年、「明るい場所で人や外とつながりながら仕事ができたら」と主人の事務所と私の工房を兼ねた「コワーキングスペースkajiyano」を敷地内にオープンさせました。
kajiyanoのコンセプトは、県内外いろんなところからふらっと立ち寄ってもらい、さまざまな化学反応が起こる場所。これから何を大事にしていくかを考えた結果、「新しく生まれるkajiyanoという場所を中心に考えよう」と、今まで続けてきたリラクゼーションのお仕事はいったん手放すことにしました。現在は元々興味のあった暮らしの中から生まれる季節の加工品づくりや店の運営・接客・販売、主人の仕事サポートが主な仕事です。また家族の暮らしがより豊かになるように考えること、健康に過ごせるような日々のご飯作りなどの家事のしごとのほか、村での仕事は変わらず参加するようにしています。
今後の夢は、県内外からいろんな方が往来してくださり、いま過ごしている場所をより豊かにして、家族がもっと気持ち良く暮らせるようにしていくことです。
これまでのゲスト
小松尾靴工房 小松尾直利さん
福崎町で10年以上にわたりオーダーメイドの靴づくりを手がけている小松尾直利さん。ていねいに足の型を採寸し、歩行の悩みや日々の生活についてヒアリングした上で、たくさんの道具を使いこなしてぴったりと合うオンリーワンの靴を制作しておられます。
修理しながら10年以上大切に履き続ける人もいるほど根強いファンがおられ、現在は半年待ち(1年待ちだった時期も!)。月に作れるのは5〜6足だといいます。
小松尾家は自営業一家。家族のご飯づくりや家事、愛犬の世話も直利さんの大事な「仕事」です。お父さんは元サッシ屋さん、お兄さんは建設屋さん。工房をつくるときにも助けてもらったそうで、程よい距離を保ちながら、ひとつ屋根の下で助け合って暮らしています。
中はりま森林組合 喜多宏高さん
知る人ぞ知る、山で働く哲学者「木こりのキタさん」。教師を辞めてから「源流探検隊」に参加されたことが発端で、山のしごとを始めることになったそうです。
デジタルツールはほぼ一切持たず、日々の仕事や暮らしの中で興味を持ったことや疑問に感じたことをとにかく記録。鳥の鳴き声、最新のJ-POP、播州弁のルーツ…ジャンル別に常時6冊を使い分ける手帳には、アンテナに引っかかった情報がぎっしり。当日は愛用の辞書と手帳をお持ちいただき、仕事の中で生まれる自然観察の記録や播州弁の収集など、日常を楽しみ深めるコツをたくさんいただきました。
次回のお知らせ
#5 4/13(土)14:00〜17:00 長谷川香里さん「結婚、そして二拠点生活。」
くらしと、しごと。それぞれがどう関わり合い、人生の豊かさにつながっていくのか。
ちょっと立ち止まって考えてみるひとときになれば幸いです。