かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」04

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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

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「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、4回目は陽文庫みずいけさんです。

04のブック

「生まれた時からアルデンテ」平野 紗季子

発売日: 2014年04月
著者: 平野 紗季子
出版社: 平凡社
サイズ: 四六判
ページ数: 192p
ISBNコード: 9784582836608

今回は「生まれた時からアルデンテ」を紹介したいと思います。

著者の平野紗季子さんは1991年生まれですから、現在26歳か27歳くらいでしょうか。ごはん狂の美食ブロガーです。大人になってからグルメになった、食に目覚めた、というわけではなく、小学生時代からすでに、何か食べたりお店に行ったあとには絵日記のようなものをつけていたようです(本文中に掲載アリ)。なので、社会人になる→お金が少しできる→美味しい店に食べに行くようになる、というような、社会人デビューの浮ついたグルメさんではないです。

表現も女性らしいというか、小悪魔的というか、率直で素直に感情も表現されるので、批判的なことを書いていても嫌味がありません。

レストランに行くってこと自体が文化資本を見せびらかすとか経済資本を人に対して誇示する部分があるなぁって(46頁)

人を食事をする場合、純粋に食べものと向き合うことは難しい。「人と食べると何でもおいしい」信仰の人たちは、“人と食”の関係ではなくて、“人と人の間、媒介物”として食を捉える。(38頁)

 
この2節が、本文の中でも特に僕にとっては印象的な文でした。ただ美味しいマズイ、素材云々だけではなく、食に対する哲学を感じるなあと。若いのになんか成熟しているな…とも。ただのグルメ本じゃないし、ガイド本とも異なります。

巻末には、彼女のお気に入りの本なども出てくるコーナーがあります。いろんな興味深い本が紹介されてるのですが、僕は本文中に出てくる『美味礼賛』(ブリア=サヴァラン著)という本が特に気になっています。最近食にまつわるエッセイなどを読んでいると、引用でよく出てくるからというのもあって。「君がなにを食べているか言ってみたまえ、どんな人間であるのか当ててみせよう」。この言葉とともに。

僕もまたいつか手にとって読んでみようと思います。これだけ頻繁に出てくると、どんな本なのかとても気になります。

今日も回転しているレストラン

《今日も回転しているレストラン》《もう回転してないレストラン》という回転レストランを紹介しているコーナーがあるのですが、《今日も回転しているレストラン》として手柄山にある手柄ポートが登場していました。

今年のはじめに初めて行った僕は、あまりのレトロさにびっくりしたのを覚えています。値段が安いわけでも高いわけでもなく、美味しいわけでも不味いわけでもない。思い出がありそうで何もない場所でしたが、自分が座っている場所が回転していくという、とても珍妙な経験をしました。

しかもひとりで行ったので、あまりはしゃぐわけにもいかず、少し甘ったるいマロンパフェみたいなのを食べてそそくさと帰り…。なんかただひたすら、「シュールな感じやな・・・」と思っていたのは覚えています。建てた当時はモダンな建物やったとは思うのですが。

蛇足ですが、子どものおしっこを我慢できれば、隣接の市民プールは面白いです。大人になると自分が思うよりかなり速い速度で下降していく殺人ウォータースライダー。体重が重い人は要注意です。鼻を力強くフンっと閉じてないと、かなり水が入ります。あと耳にも。プレイ待ちの人はちびっこがほとんどで、成人はほぼ並んでません。最後に入水するときに大人はすごい水しぶきをあげて、係員さんに少し笑われてしまいますが、それらを我慢できれば、市民プール楽しいです!

申し訳程度にでてきたランチサラダ

申し訳程度にランチにセットで出しとけばええんやろというサラダと、居酒屋で揚げ物などに添えられているいつも残るレタスと、あと、マナーなのかなんなのか、大皿料理の最後に残ったひとつを遠慮して箸をつけないというカルチャー?は嫌いです。

と最後に、僕の食に関する個人的な感想を書こうと思ったら、本文中にも全く同じ章がありました。その名もそのまま【申し訳程度にでてきたランチサラダ】。よかった!少し平野さんに近づいたと思った瞬間でした。

この人は本気(みんな本気だと思いますが)で食べること、食にまつわることが好きなので、読んだらきっと幸福な気持ちになれる本です。写真のカットも可愛らしいし、突きつめ方も深いので、男の人が読んでも女の人が読んでも、楽しめる本かなと。人気ブロガーのようですので、引き続きWebで情報をとっても良いかもしれませんね。

終わり

文:みずいけあきら(陽文庫)
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あさのは商店

あさのは商店

姫路生まれ・姫路そだち。姫路→大阪→徳島→姫路。
肌の弱い自分が必要なものを近くで買えるとうれしいなーと、肌にやさしい日用品「あさのは商店」をしています。
趣味は、ウクレレ・縫い物・言葉の観察など。

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