パリの音楽院を経て、パリ地方国立音楽院サクソフォン専門課程を最優秀の成績を授与。
フランス国家資格である音楽研究資格(DEM)、ディプロマを取得し卒業し、その後もさまざまな活動をされ、今年3月フランスから帰国された、サクソフォニスト津田衣利子(つだえりこ)さん。
現在はサクソフォンを教えながら、2019年11月15日(金)イーグレひめじアートホールにて、企画・運営から行う始めてのサクソフォンコンサートの練習に励む毎日です。
津田さんとサクスフォンとの出会い、プロとなるまでのお話などをお伺しました。
サクソフォンとの出会い
津田さんとサクソフォンの出会いは、中学校の部活動から。
サクソフォンの担当となったことがはじまりです。
入部した当初はサクソフォンは中学生の津田さんにはにはとてもむずかしく、器用にこなせるものではなかったそうですが、毎日とり憑かれたように練習を行いました。
やがて学校にあった、著名な楽団や音楽家のCDを聴いては、好きなソロを真似し、好きなように吹くことがお気に入りの学生に。
栄光をたたえて、エアーズ、たなばた、海へ… など
中学での部活動入部から今まで、サクソフォンを片時も離さず常に一緒とのことですが、そのことにとてもご自身が驚いていらっしゃるそうです。
Épisode Quatrième エピソード・キャトリエム
今回のサクソフォンコンサートのタイトルにもなっている「Épisode Quatrième エピソード・キャトリエム」。
ピアノに「沖永 紗織(SAORI Okinaga)」さんを迎えて演奏されます。
Program プログラム
パントマイム/フィリップ・スパーク Pantomime / Philip Sparke
ソナチネ/クロード・パスカル Sonatine / Claude Pascal
プレリュード、カデンツァとフィナーレ/アルフレッド・デザンクロ Prélude,Cadence et Finale / Alfred Desenclos
エピソード・キャトリエム/ベティ・ジョラス Épisode Quatrième / Betsy Jolas
コル・ニドライ op.47 /マックス・ブルッフ Kol Nidrei op.47 / Max Bruch
心理学用語。私たちの中にある、相互に関連する二つの記憶。
エピソード記憶と意味記憶。
エピソード記憶は記憶の中でも一番高度な働きをもち、特に覚えておこうと意識しなくても、一度の体験だけでそれを記憶し、忘れにくい特徴がある。
エピソード記憶には、人生の個人的な体験、時間や場所、その時の感情が含まれ、感情は記憶の質に影響する。
ほとんどの人が3、4歳までの体験を憶えていないのは、エピソード記憶が生まれた時から備わった能力ではなく、後から、獲得された能力だからだとされている。
一方、意味記憶は繰り返し同じ物事を記憶することが影響する。事実と概念に関する記憶。
生まれて最初の母国語、学校で学んで得た知識、教科書。
覚えようとして覚えた知識。エピソード記憶は意味記憶に存在する地図のようなものと考えることができる。
二つの記憶と音楽の融合による相乗効果。
パリ生まれ、アメリカ系フランス人、女性現代作曲家ベティ・ジョラス氏作曲“ÉPISODE QUATRIÈME・エピソードキャトリエム”をコンサートのテーマに取り上げ、4番目の挿話、日本語訳の通りコンサートのプログラム4番目に。
前後には作曲家と楽曲の優しいエピソードを集めました。
サクソフォン 津田 衣利子
これから と 音楽、サクソフォンへの想い
津田さんの今後について活動、想いについてお伺いしてみました。
1 沢山のコンサートがしたい
まずは、沢山のコンサートがしたい。
人との繋がりを大事に、沢山の方と演奏がしたい。
それは、「自分が今の自分で納得をしてしまわない為にも大事なこと」と考えていらっしゃるそうです。
私自身も興味を持ってもらえるような演奏家でいたいです。
今までもやってきたことですが、これからも、多くの方の演奏、人から学び、変化し続けていきたいです。そして、新しい曲に挑戦していきたいです。
2 学んだことを伝えたい
そして、二つ目。
フランス、パリで学んだことを将来の教え子に伝えることです。
できないんじゃない、知らないだけ。環境や持って生まれたものは人それぞれあります。
私が出会う意欲ある生徒に音楽を学ぶ手助けをしてあげたいです。パリでは、辛いことも多かったはずなのに、思い出すのは楽しいことばかり。
音楽留学中、気づけば、1日の大半を音楽院の練習室で過ごすことが当たり前になってました。そこで、私は、自分が出来ることとやりたいことの狭間でいつも切磋琢磨していました。
いつのまにか、練習室は私の好きな場所になって、ピアノがあって、壁は真っ白、大きな窓、日当たりが良くて、歩き回れるくらいのスペース、そして、少し響きがいいと気分がよかったです。サクソフォンを練習していた場所は、私にとって、いつも特別な場所。
中学の渡り廊下、高校の食堂の斜め前、テーブルの置いてある横。
そして、音楽室。
音楽のことだけに集中する時間があったことは、とても幸せだったと気づきました。あの曲 は、、って、気づけば、いつも、頭の中は、いっぱいでした。
サクソフォンという楽器に見合う人間になるために
中学生の部活動で初めてサクソフォンを手にし、その後津田さんが音楽を学問として捉え、演奏家となるためにクラシックの本場フランスのパリまで行ってしまうなんて。
周りの人たちも自分自身も、思ってもみなかったことだったといいます。
音楽家の家に育って… 小さいころから気がつけば演奏することが普通で… などの環境はありませんでした。
中学生で初めてサクソフォンと出会い、それをつきつめていったのは津田さんご自身の努力と意志によるものです。
私よりも、環境に恵まれ、才能があって、賢く、利口で器用な人間は山ほどいました。
私は、ただ長く、ただ根気強く続けただけ。特別なことなんて何一つなかったです。
そして、津田さんのお気にいりの話に、ある先生にお伺いしたという話があります。
“私たちが、楽器を選んでい るようで、楽器達にも好みがあってあなたたちを選んでいるのよ。”
私は、サクソフォンという楽器に見合う人間になるために努力を重ねているのかもしれません。
そして、努力をしたご褒美にサクソフォンがくれ た幸福は数多いです。
曲、作曲家、演奏家、アーティストとの出会い。共に演奏をする友が できたこと。
舞台に立って、人に聴いてもらうことの喜び。
そして、逃げずに諦めずに努力 してよかったと思えたことです。
これからも、直向きに、謙虚でいること忘れず、練習します。
Profile
津田 衣利子 ERIKO Tsuda/サクソフォン Saxophone
兵庫県姫路市出身。大阪音楽大学短期大学部管楽器専攻サクソフォン科を卒業後、渡仏。
パリ7区エリック・サティ音楽院を経て、パリ地方国立音楽院(パリ10区ルイ・エクトル・ベルリオーズ音楽院)サクソフォン専門課程を最優秀の成績を授与され、フランス国家資格である音楽研究資格(DEM)、ディプロマを取得し卒業。
パリ、フランスにて、クラシカルサキソフォンの伝統的な学派を学ぶ。
2016年度、フランス、パリジャン・サクソフォンコンクールにて、審査員及びコンクール課題曲提供者、イタリア人作曲家アルマンド・ギドニー氏に称賛を受け、作曲者賞を受賞。
第92回、フランス、レオポルド・ベラン国際コンクール管楽器部門、ファイナリスト。
2015−2017年、パリ大学、ソルボンヌ大学オーケストラ、2016年、ラジオフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団主催オーケストラに所属し、ソルボンヌ円形劇場跡、アンヴァリット・サン・ルイ大聖堂、メゾン・ド・ラジオ・フランスにて、演奏。パリ10区ルイ・エクトル・ベルリオーズ音楽院オーケストラとフランス人作曲家ダリウス・ミヨー作曲、Scaramoucheを共演。パリ市、パリ区立音楽院を中心に多数の演奏活動、企画に参加し研鑽を積む。
声楽をフランス、ブルターニュ地方出身の声楽家、クラウディーヌ・ル・コズ氏に学ぶ。サクソフォンを井上麻子、ヤン・ルマリエ、ファブリス・モレッティ、室内楽をヤン・ルマリエ、千春・ルマリエ(井上)、ファブリス・モレッティ、オーケストラ管弦楽法をファブリス・モレッティ、各氏に師事。
2019/10/15 津田衣利子 サクソフォンコンサート ERIKO Tsuda Saxophone Concert | 姫路 イーグレひめじ 詳細
日時:
2019年11月15日 金曜日
18:30 開場 19:00 開演
場所:
イーグレひめじ アートホール 地下1F
兵庫県姫路市本町68−290
JR姫路駅から姫路城(北)の方へ歩いて約600m(大手前公園南側)
料金:
一般¥2,000
学生¥1,000
当日¥500増
奏者:
Saxophone / 津田衣利子 ERIKO Tsuda
Piano / 沖永紗織 SAORI Okinaga
後援:
大阪音楽大学同窓会«幸楽会»
姫路市
«公財»姫路市文化国際交流財団
前売り申し込み・お問合せ先
お問い合わせ:
erikotsuda2@gmail.com(津田)
※上記アドレスにて、演奏のご依頼、随時受付中です。
ご連絡ください。
文章・写真提供:津田衣利子
編集・追記:OTETEお手伝い