築200年以上の町家を再利用した 野里と人々をつなぐ [ 小倉屋 (小くら屋) ] | 姫路 堺町

小倉屋 小くら屋
2024年8月、築200年以上の元金物店である町家を改修した「小倉屋(こくらや)」さんが姫路市堺町にOPENしました。

小倉屋さんが建つのは姫路城の東側、姫路城の城下町として栄え、現在も町家の残る野里地域。
世界遺産バッファゾーン(緩衡地帯、世界遺産としての価値を保護するために、遺産周辺に設けられる景観を保全する区域)に小倉屋さんも含まれています。

小倉屋のオーナーは野里の大野町で町家暮らしをされている、姫路に残る町家の保存や再生に取り組む「姫路・町家再生塾」の活動もされている塩本さんご夫妻。

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風が通り抜ける通り土間

元々はこの町家を所有する予定はなく、この町家が取り壊されマンション建設の噂をききつけたことがきっかけでした。
町家を所有し保存してくださる方を探しましたが、残念ながら見つかることはありませんでした。
いよいよマンションになってしまう! というタイミングで、この町家のオーナーになることを決められたそうです。

町家取得後も、町家の活用法については特に定まっていませんでした。
多くの方と語らううちに、地域のものを知ってもらったり、野里で人々が行き交う場所になれば と小倉屋をOPENされました。

屋号となっている「小倉屋」は、この町家が以前金物屋さんだったときの屋号を引き継いだものです。

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実際に金物屋時代に使われていたという金具のサンプルと、明治18年の営業免許鑑札

1つの町家内に複数の使い方 複合スペース「小倉屋」

小倉屋さんは、今風の言葉でいえば複合施設の総称。
とても大きな敷地を持つ小倉屋さんは、いくつかの機能を持ち合わせています。

当時の面影はなるべく残しつつも、築200年超えともなると傷んでいる箇所も多く、再生は楽なものではありませんでしたが、現在は耐震工事も行い、補修が行われ手入れが行き届いた空間となっています。

小倉屋はオーナーご夫妻にとって大切な場所。
これまでこの場所で生活されてきた方や、金物屋さんとして親しまれてきた時代の想いも引き継いでいらっしゃいます。
「町家や地域への想いと価値を共有できる方々に使っていいただけたら」というのがオーナー夫妻の願いです。

趣のある什器を備えた「土間スペース」

入ってすぐの土間スペース。

こちらはポップアップイベントなどで、何か商品を陳列するのにぴったり。
それもそのはず、金物屋さん時代に金物が実際に並べられ、販売されていたスペースなんです。

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2024年3月に行われた「町家の日」の様子。 小倉屋さんの什器にitsumoさんの商品が並び賑わいました。

京都を発祥とした3月8日(March8)の前後に毎年開催され、野里界隈でもすっかり根付いている町家を感じるイベント「町家の日」では、姫路市夢前町の人気雑貨店「旅する雑貨屋itsumo(イツモ)」さんが、まだ準備中だった小倉屋さんでたくさんの雑貨を並べ、当日は多くの人で賑わいました。

また正式OPEN後には、徳島のSLOW&STEADY さんのポップアップイベントも行われています。

什器は金物屋さん時代のものが残り雰囲気たっぷりです。
格子から漏れる光が美しく空間をうつしだします。

カフェスペース「小倉屋茶房」

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町家の中央部は町家オーナーの塩本ご夫妻のカフェスペースがあり、コーヒーとハーブティーを楽しむことができます。

コーヒーは野里地域に店舗のあるNAKAZAKI COFFEE ROASTERさんのコーヒー豆を使ったもの。
オーナーご夫妻も大ファンだというNAKAZAKIさんのコーヒーを、野里をもっとみなさんに知ってほしいという想いが、カフェスペース誕生のきっかけとなったそうですよ。

HOT提供の際に利用されるのは、兵庫県高砂市の竜山石を使ったマグカップ。
手にするととてもスムースで、軽く、口当たりもよく、良い意味で驚きがありました。

ハーブティーは姫路市香寺にある、香寺ハーブガーデンさんのもの。
癖が少なく、ハーブティーが初めての方でも飲みやすいブレンドとなっています。

現在はコーヒーとハーブティーのみですが、少しずつ軽食や菓子などの他のメニューも増えるかも? ということで、最新の発表が待ち遠しいですね。

部屋奥の壁には、寄贈された貴重な書籍も並ぶ大きな本棚が。
町並み、祭り、発掘、妖怪や風俗などの今は絶版となっている本もたくさんあり、蔵書はなんと2000冊!

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貴重な本もたくさん並んだ本棚

カフェメニューでゆっくりご友人と語らったり、じっくりと蔵書に目を通したり。
風通しのよい縁側では庭を愛でつつ、姫路の伝統工芸である「明珍火箸」の響きに耳を傾けたり。

まるでここは、町家の外とは違った時間が流れているようです。

キッチン と 庭

一番奥には、キッチンと大きなお庭があります。

キッチンは独立していて、空調設備も整い、調理に集中することができそうです。
庭は日本庭園風なつくりで、表の通りから最も奥まった場所にあり、静かで落ち着くことができます。

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改修前が嘘のよう! 見違えたお庭

まだどのようにこの空間を活かすかは検討中とのことですが、アイデアはすでにたくさん!

キッチンは単発やレンタルで使えるようなシェア機能を持ったスペースとして。
広々としたお庭はマルシェなどのイベントなどの開催などなど。土壁のワークショップなども。

何か楽しいことがこれから起きるのは、間違いありません。
最新のお知らせは、公式instagramで確認していただけますので速報を待ちましょう。

新しい歴史を、想いを刻む

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小倉屋さんへのアクセスは、自転車が便利。
町家北側に駐輪場があり、姫路駅前からレンタル自転車「姫チャリ」で10分ほどの距離です。

駐車場はありませんが、姫路市立動物園西にある大きな「姫山駐車場」があります。
そこから歩いて7分ほど。
他にも野里界隈に民営のコインパーキングがいくつかあります。
駐車して、あたりを散策しながら町家歩きもおすすめです。

駅前から歩いても30分かかりません。
姫路城や、姫路市立美術館、兵庫県立歴史博物館をゆっくり巡ってから訪れるのも。

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格子から光があふれ、夜も美しい小倉屋

200年もの間に、町家はどのような景色を見てきたのでしょうか。

当時から残されていると思われる柱には、寛政7年(1795年)と書かれた札が残されています。
松平定信の時代、寛政の改革… 想像することしかできませんが、時代を想起する、そこで暮らした人々や訪れた人々の時間が今も流れているようです。

小倉屋さんは、過去だけでなく、これからの時間の中でたくさんの可能性を秘めています。
長い時を重ねてきたこの町家は、今、再び多くの人々が行き交い、これからも新たな歴史と想いをこの場所に、そして野里地域に刻んでいくことでしょう。

小倉屋 詳細

住所:
兵庫県姫路市堺町30

兵庫県姫路市堺町30

営業日時:
10:00~18:00
不定休 (最新情報はinstagramにてお知らせ有)

駐車場:
なし
※ 周辺に姫山駐車場(姫路市立動物園西)、城の北駐車場(姫路市立城内図書館 西)、コインPなどあり

公式instagram:
https://www.instagram.com/kokuraya.himeji/

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OTETEお手伝い

OTETEお手伝い

2011の震災で東京→姫路に自主避難。姫路生活も長くなってきたが、まだまだ知らないことばかりで情報収集中。美味しいものを食べることが大好き。でも震災後は安全であることも大事に。偏愛主義者。WEBや印刷物の制作をお手伝いする「OTETEお手伝い」を運営中。

好き:カレー(スパイス料理)、パクチー、アート、音楽、手作りすること

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