姫路市街からもアクセスしやすい場所にある、三角屋根の白い小屋。
周囲には季節の薬草や樹木が植えられ、緑が多く心地よい場所です。
「あらうを手づくる暮らし」をコンセプトとした手づくり石鹸の文化や暮らしについて活動をする、Mauruuru(マゥルール) を運営するMakiさんにお話をお伺いしてきました。
Mauruuruさんは、石鹸作りやさまざな学びの教室開催、実店舗とオンラインショップの運営、石鹸の製造・販売などの活動をされていらっしゃいます。
手作り石鹸との出会い
市販品が合わず肌に悩みのある家族のために、いろいろな治療方法を模索するなかで[前田京子 著 / お風呂の愉しみ (1999年発行)]という一冊の本と巡りあいました。
人類においての「石鹸」の歴史は、紀元前数千年前にも遡るそうです。
しかし日本においては16世紀ごろ、国産のはじめての石鹸製造と販売は19世紀と比較的歴史の新しいもの。
それもあってかヨーロッパでは各家庭で石鹸をつくるという文化が古くから根付いていましたが、日本では自分で石鹸を作るという文化はそれまでありませんでした。
そんななか[お風呂のお愉しみ]が発行され、生活に根付いたその内容にも感銘を受け、自宅での石鹸作りをスタート。
心配していた家族にもとても好評でした。
元々ものづくりが大好きで、とことん突き詰めていくタイプのMakiさん。
薬草の持つ効用や、見た目の美しさ、香りについてなど、多面的な魅力を持つ石鹸の世界はとても奥深く、それぞれの専門分野を学んでいくうち、この良さをもっと多くの方に伝えていきたいという想いから 2008年に「Mauruuru」をスタートされました。
「手づくる暮らし」 workshop・教室
自分で作る石鹸は、自分や家族に、用途によって適した成分・配合で作ることができます。
洗浄力を高めたり、保湿力を高めたり、好みの香りや色をつけたり。
季節によって、体調によって、家族の中でも一人ごとに、肌の調子は異なるものです。
どの材料を使うか、同じ材料でもどう配合を変えるかで洗い上がりは別物に。
朝の洗顔や食器洗い、出勤前の掃除、帰宅後の手洗い… 「あらう」は一日の中でいろいろな場面で、生活の一部として繰り返されています。
そんな何気ない時間も、お気に入りの洗い上がりや香りがあれば、毎日の生活の中で彩りなるのではないでしょうか。
たくさんのLesson menu
Mauruuruさんでは、ご自身の興味にあわせて、レベルにあわせて学ぶことができる、たくさんのLesson menuが用意されています。
・気軽に挑戦できる「石けん体験Lesson」
・季節ごとの素材を使った楽しみや、悩みなどに寄り添う「季節の石けん」
・複数回の継続した定期的なレッスンで、しっかりと学ぶ「石けん・こと始めの會」
例えば「季節の石けん」ですが、冬には【発酵カカオ豆】の石鹸。
想いのつまった発酵マヤカカオ豆を使った、カカオバターが乾燥から守ってくれるほんのり甘く香る石鹸です。
夏には【色水あそび】の石鹸。
見た目も楽しくなるようなこの石鹸は、夏にかけて多くなる紫外線B波を防ぐ効果もあるシアバターが配合された石鹸です。
※過去に開催された「季節の石けん」の一例となります。今年のlesson内容は、公式ページやSNSなどでご確認ください。
その他にも
・スキンケアのための「季節のお手入れ」
・毎日使う「家事石けん」
・すぐに使える「液体石けん」
・愛犬のための「犬の石けん」
・大切な思い出として残す「母乳石けん」
・かおりを学ぶ「カオリクリエーター」
・MCTオイルや自家焙煎コーヒーについての「ちょこっとお話し會」
などなどたくさんの教室があります。
各教室の詳細は
Lesson menu
https://mauruuru08.com/lessonmenu/
からご確認いただけます。
どのlessonで使われる材料も、生産者さんの顔が見えたり、想いのつまったもの。
使う意味がしっかりとある、Mauruuruさんが厳選したものばかりです。
Mauruuru fare 実店舗とオンラインストア
2008年に活動をスタートしてからworkshopやlessonは、自宅や出張先で開催されてきました。
しかしコロナ禍で自粛などもあり、これまでのようには行かなくなってしまったとき、自宅からもほど近い場所で三角屋根の小屋と出会いました。
当初は器具などが置かれていた倉庫でしたが、DIYしながら整理をし、教室兼店舗として2021年に教室「Mauruuru fare(マゥルール ファレ)」としてOPEN。
「fare」ポリネシアの言語や文化で「家」や「宿」を意味する言葉です。
Mauruuru fareでは、普段はlessonなどが行われているため事前連絡なしでは来店できませんが、open day が月に2回ほど設けられ、ショッピングなども気軽に楽しめる日として開放されています。
店内には教室でも使っている石鹸作りの素材や、Makiさんがセレクトされた日用品、Mauruuruさんが認可を得て製造販売されている石鹸の購入も。
お店に来ることが難しい方には、オンラインショップもご利用いただけます。
https://mauruuru08.thebase.in/
作り手として Mauruuru craft works
2008年から数々の石鹸との暮らしについて、人々に伝道師のように伝えてこられたMauruuruさんですが、意外にもこれまで雑貨扱いの石鹸以外は販売されてきませんでした。
2024年末 Mauruuru craft works として始動し、満を持して肌にも使うことができる石鹸が3種販売となりました!
まずは「白の石鹸」シリーズが3種販売となっています。
「はじまり」
Mauruuruさんの石鹸作りの原点となっている特別な石鹸
「いのり」
家族への想いと願いを込めて仕込んできた石鹸
「心ばかり」
華やかに香る果実の香りの人気の石鹸
Makiさんは「石鹸は簡単に作れるからみなさんにも本当は自分で作ってほしい」とおっしゃいますが、誰もが作れるものではありません!
いきなり教室に行って石鹸を作るのはハードルが高すぎる…
けれど良質な石鹸を使ってみたい
と、石鹸との暮らしに興味はあるのに躊躇していた方には、まずはMauruuru さんが作った白の石鹸を使ってみていただければと思います。
もっと気軽に という方にはまずは人気の「家事石鹸」を。
リピーターも多い人気の石鹸です。
製造し販売されている石鹸も、包装材にも妥協せず選びぬかれたものを使われています。
石鹸との暮らしに目覚めたら、いずれは自分で石鹸を作りたくなるかもしれませんね。
「あらう暮らし」を実践してみました
実は自分も「白の石鹸 / はじまり」を2週間ほど使用し「あらう暮らし」を実践中です。
(感想は個人の使用感によるものです。全ての人に同じ効果を保証しているものではありません)
泡立ちは十分でふんわりとラベンダーが香り、すぐにモコモコとした泡ができあがります。
それであって、泡切れ抜群です。
合成界面活性剤などはもちろん入っていませんので、ヌルヌルした感じは一切ありません。
頭から全身で使用していますが、洗い残した感はないのに風呂上がりのつっぱりもありません。
顔もべたつきはないのに、とてもしっとりと落ち着いた肌触りです。
髪は少し石鹸だけだと自分はきしんだだため、洗髪後にクエン酸を使うと翌朝もすごくよい感じでした。
(石鹸はアルカリ性のため、 酸性であるクエン酸を使うと中和されます。酢やレモン汁などでも)
元々肌は弱くはありませんが、使用してからもまったく問題は起きていません。
石鹸に変えたことで感じた面倒も特になく、このまま使い終わるまで、まずは使ってみようと思っています。
石鹸との暮らし がもたらしたもの
生活がシンプルに
Makiさんが石鹸と暮らし、感じたことの中の一つが「生活がとてもシンプルになる」 ということ。
肌にあった石鹸があれば、髪も体もそれ一つで洗うこともできます。
シャンプーに、ボディソープに.. と揃え、さらに家族分の在庫も用意しておく.. となると、家の中はスペースもとりますし、プラスチックの容器や包材がどんどんと増えていくばかり。
洗浄剤もスーパーや薬局に行けば◎◎用、◎◎用、と場所や用途を特定したような様々な商品が販売されています。
石鹸作りに使う材料でもある油脂は、良質なものを使われているので、炒めものや揚げ物など、食用としても。
料理用の油を別に揃える必要もありません。
あれこれ揃えることが必要なくなり、生活がとてもシンプルになったそうです。
あらう、そして循環する
人は洗濯、洗い物、掃除、風呂、など 一日の中で何度も「あらう」を繰り返しています。
大量の排水は排水口へ、川へ海へと流れていきます。
正しい知識の上で洗浄剤を選び・使用すれば、洗浄後の排水は、素早く分解され地球に還って行くことができます。
Mauruuruさんでは、「循環する」をとても大事にされています。
それは材料選びにおいても同じです。
石鹸は油脂(動物や植物からとれる油)とアルカリを反応させて作る洗浄剤の一種。
油脂は保湿や泡立ちに影響します。
作り手やブランドによってそれぞれで、個性や効果がでるところです。
石鹸作りに使われる油脂はさまざまな種類がありますが、欧米では多くの企業や作り手がパームフリーに舵を切る中、日本では未だに安価で大量に生産されているパーム油が、一般的に使用され続けています。
パーム油は、食品も含むたくさんの日用品の材料として日本で広く利用されてますが、国内では生産されていません。
インドネシアとマレーシアなどで大量に生産され、熱帯雨林の破壊やその生産における過程が、とても深刻な問題となっています。
「持続可能」の認証を受けたパーム油もありますが、現地での管理は曖昧なもので、認証基準の抜け穴を指摘する声も多数あがっているのが現状です。
Mauruuruさんでは、石鹸教室で使用する材料も、製造されている石鹸も、パームフリーとなっています。
パーム油のかわりに、シアバター、ココアバター、ミツロウ、ラードなども脂肪酸組成で似た部分を持つので、それらを組み合わせて使われています。
とてもとても大事なことです。
Mauruuruさんの想いを、Mauruuruの言葉で。
公式ページで、ぜひ知っていただけたらと思います。
製法・原材料のこと
https://mauruuru08.com/manufacturingmethod/
満を持して発売された化粧石鹸、なぜまずは3種とも「白い石鹸」であったのか。
「もっとカラフルな石鹸、どうして販売しないのだろう?」とお話をきくまで、疑問がありました。
もちろんそこにも理由があります。
その他にもMauruuruさんの公式ページには、これまで培ってきた知識やアイデアなどがたくさん詰まっています。
最新のlessonや、open dayに関する情報、石鹸に関するいろいろなことが発信されていますので、ぜひチェックしてみてください。
公式instagramでは世界観のある写真とともに、情報を確認することができます。
石鹸との暮らしは、ハードルが高いと思い込んでいましたが、実践してみて、一歩を踏み出せたと感じています。
作る、学ぶ、聞く、買う。そして使う。
石鹸とのかかわり方は、一つではありません。
全ての「あらう」を石鹸にかえることが難しいならば、まずは一部分から。
屋号である「Mauruuru」はポリネシア語で感謝を伝える言葉。
身近な家族、川や海、遠い世界の森を想って。
Mauruuruさんは落ち着いた雰囲気と穏やかさの中に、強さと熱い思いを持っていらっしゃる方でした。
lessonやお話会に参加したり、open dayに訪れていただき、ぜひ一度Mauruuruさんに直接会ってみていただけたらと思います。
Mauruuru マゥルール 詳細
住所:
兵庫県姫路市梅ヶ谷町24-30
Lesson中はご対応できない事もございますので、Lesson dayにお越しになる際は公式LINEよりお問い合わせ下さい。
Fare open day:
毎月2回ほど
公式ページやinstagramなどでスケジュールをご確認ください
公式ページ:
https://mauruuru08.com/
公式Instagram:
https://www.instagram.com/mauruuru.o8/
オンラインショップ:
https://mauruuru08.thebase.in/