毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
1年に何度かある「第5週目」の水曜日にだけそっとていねいにつづられる、宮下ひろみさんの本についてのコラム「五週目のほんばこ」の11回目です。
11個めのほんばこ|『ネコとクラリネットふき』岡田淳・著(クレヨンハウス)
みなさん、こんにちは。
今回ご紹介する本は
「ネコとクラリネットふき」
岡田淳 著 クレヨンハウス刊
です。
ある夜、ぼくが帰宅すると家の前にネコがいた。
まるで自分の家みたいドアの中に入っていった。ごはんをあげても口をつけない。
クラリネットを吹くのが大好きなぼくはネコの前でいつものように練習した。
終わってみると、ネコがさっきより大きくなっている!
休日、ずっとクラリネットを吹いていたら、それを聞いていたネコはますます大きくなった。
ぼくは大きなネコと暮らすのが夢だった。
ふかふかのネコのお腹を枕にして寝るは至福だ。ご飯を食べず、音楽を聞いてどんどん大きくなるネコ。
とうとう家よりも大きくなった。
でもネコがいれば平気。だってネコがぼくのベッドだから。
ネコの背に乗って街を歩いた。
いい気分でクラリネットを吹いた。気がつくとネコは空に浮かんでいた。
ぼくとネコは自由に空を飛んで知らない街へゆく。
そしてクラリネットを吹いて、日々の糧を手に入れる。“よのなかで いちばんすてきなのは ネコといっしょに くらすことです”
私もクラリネットの音色が好きだ。
丸くて深くて、ちょっと芳ばしい感じもして、美味しそうなのだ。
音楽を食べることができたら、このネコみたいにフワフワと大きくなって、空をとべるのかな。
こんなネコがいるなら私も一緒に暮らしたい‥
ゆったり過ごしたい秋の夜に、クラリネットを聴きながら。是非どうぞ!
文:宮下ひろみ