てくてくレポートです。
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欠けたり割れてしまった、大切なお皿やカップ。
大好きな作家さんのものだったり、思い出のあるものだったりすると、捨てることもできず、でも使い続けることもできず 「食器棚の奥にいくつかしまったままになってる..」という方も多いのではないでしょうか。
羊雲さんで6月よりスタートした、金継ぎワークショップにお誘いいただき、参加させていただいてきました。
1回〜 複数回参加OKで、現在月一度、全6回の開催が予定されています。
【羊雲 金継ぎワークショップ 2025】
6 /26(木) 14:00-16:30
7 /24(木) 14:00-16:30
8 /28(木) 14:00-16:30
9 /18(木) 14:00-16:30
10/23(木) 14:00-16:30
11/27(木) 14:00-16:30
先生は大阪 graf shopのスタッフでもある田中二三(fumi)さん。
ショップで働きながら、ご自宅で器を預かって金継ぎによる修繕も行われています。
自宅に初心者の金継ぎ体験にちょうどよい欠け具合(?)の器がなく、羊雲さんのお店の器をお借りして体験してきました。
予約は 羊雲さんのinsta @hitsujigumo106 プロフィール下にあるハイライトのURLから行っていただけます。
本金継ぎ、簡易金継ぎ
今回のワークショップは「本金継ぎ」。
漆(うるし)を用いて修繕を行う技術は縄文土器や建築ですでに見られていたそう。
陶磁器を修繕し、復元させる金継ぎの技法が生まれたのは室町時代頃とされているようです。
現代では「金継ぎ」と呼ばれるものにも種類があり、区別するためにも、天然の漆、純金粉など、伝統的な材料を使用した伝統的な金継ぎを「本金継ぎ」、合成樹脂や接着剤を使い、短時間で手軽に修繕できる「簡易金継ぎ」などと呼びわけています。
近年のWABISABIブームやSDGsの流れもあり、海外でも「Kintsugi」として人気が高まっているそうですよ。
「本金継ぎ」は、数時間〜1日ほどで終わる簡易金継ぎと違い、完成までに数ヶ月〜半年、状態によっては年単位でかかりますが、安全性と耐久性はとても高く、見た目の美しさ・美術品的価値は別物。
ただ道具として続けて使うために修繕するというよりは、本金継ぎでは修繕した箇所を「景色」として捉えたり、歴史の中では「黄泉の国より蘇った物として特別な評価」を与えられたり。
本金継ぎは本来の器の姿とは、また違った新しい価値がうまれる、現代でも多くの人が学び実践している日本古来の手法です。
天然の接着剤である漆
本金継ぎは、ウルシの木の樹液を用いた天然の接着剤である漆を主に使って作業していきます。
漆のもつ触媒酵素を空気中の水分と酸素によって、常温で酸化させ接着の作用がうまれます。
液状の漆はかぶれてしまう方も多いですが、しっかりと時間をかけ硬化させた漆は安全性がとても高く、強度も長い歴史の中で証明されています。
「金継ぎ」は装飾として、金粉を用いられたことから。
必ずしも金粉で仕上げる必要があるわけではなく、銀を使った「銀継ぎ」や「色漆継ぎ」などもあり、器の地の色や好みによって、作業や工程を選ぶことができます。
金継ぎワークショップ、作業スタート!
欠けなのか、割れなのか。
陶器なのか、磁器なのか。
などで、その工程は異なるそうですが、今回お借りした器は陶器の欠けがあるものでした。
初回となる今回は、砥の粉(とのこ)と生漆(きうるし)を混ぜ、錆漆(さびうるし)というペースト状の、粘土のような粒子の細かい下地をつくり、欠け部分を埋めていきます。
室町時代から.. と言っても、漆はチューブに入っていますし、マスキングテープやラップなど、現代の便利なものもどんどん使っていきますよ。
ちょっと金継ぎ格式高い..
と体験するまでは思っていましたが、元々工作や図工、黙々とした作業が好きなので、練ったり、塗ったり、楽しい!
もちろん繊細な作業も完成までにはあり、仕上がりは作業する人によって異なるでしょうが、自宅の器であれば、多少の失敗もまたアジになりそうです。
何ヶ月もかけて修繕した器は、また特別なものになるのだろうな と思います。
錆漆をしっかりと時間をかけて乾燥させなければ次の工程には進めないため、今回はここまで。
「室(むろ)」で漆を乾燥させるため、おやすみさせます。
室とは、湿度と温度を管理する箱状の空間で、今回はダンボールで代用です。
湿気の多い時期なので、冬より乾燥に時間がかかりそうだな と思いましたが、漆には温度と湿度が必要とのことで、この時期は適しているのだとか。
ワークショップはお茶とおやつ付き。
最後に参加者のみなさんと羊雲さんのドリンクと、近所の人気焼き菓子店「菓子刻」さんのファーブルトンをいただきましたよー!
修繕の完了した器が楽しみ!
ワークショップに参加されていた方は器を愛し、大事にされている、器好きな方ばかり。
家にまだまだ修繕したい器がたくさんある!という方もいらして、教室に通い先生に教えを受けながら、自宅で自分でも今後も続けていきたい とおっしゃっていました。
金継ぎの道具はネットでもいろいろ販売されていますし、もちろん先生のほうで希望があれば用意してくださるそうです。
体験参加だったため2回目以降の作業はまた他の方に引き継いでいただくことになるかと思いますが、羊雲さんでランチをいただく際に、いつか金継ぎでの修繕が完了した今回の器がでてくるのでは!と楽しみにしています。