毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。
第12回目「小さな暮らしのなかで」
先日の9月23日、暦では「秋分」を迎えました。この日を境に、夜が長く昼が短くなると言われていますが、最近日が沈むのが早くなり朝晩がひんやり寒く、あぁ・・・冬が近づいてきたなぁと切に感じる今日この頃です。
みなさんは、冬に向けてなにか準備をしていることはありますか?
未来につながる知恵と技術
わたしのコラムによく登場する「ラダック」という地域は、標高が高いので1年の半分は雪に覆われると言われています。そのため、農作業は大忙し。雪のない半年間で1年間分の作物を育て、乾燥できる作物は日が出ている間に乾燥させて次々と保存していくのです。
これら、機械はないので全て手作業。朝、水やりに徹していたかと思えば、太陽がでてきたら布に包まれていた作物を丁寧に並べ、太陽の光をあてて乾燥させてゆきます。そして、また次の作物の手入れ・・・毎日こなす家事に加えての作業なので、身体はいつも休まることなく動いていてとてもハードにみえるのですが、彼らは淡々と作業をこなしていきます。
また、彼らはいつも空のカゴを背負っているのですが、道ばたにヤクやゾと呼ばれる動物のフンを見つけると、拾ってはポイっとカゴに放り込み、家に持ち帰ります。(もちろん、乾燥しているフンですが・・・標高が高く空気が乾燥しているので、フンもすぐにカラカラに乾燥してしまうのです)
以前もどこかで書いたように、乾燥したフンは部屋の一室に積み上げられ、燃料として毎日使用されています。燃料資材のないこの地域では、道ばたのフンも宝物のよう。
また、冬の間の燃料分も蓄えておく必要があるので大変な労働ですが、やらねばならない作業も、時間を有効に活用することでサイクルを暮らしのなかでうまく循環させているようです。
冬に向けて、その地にあるものを最善に利用・活用していく姿は、無駄がなくとても丁寧。生きるための術は、次の世代にしっかりと受け継がれていて、それをまた次の世代が、大人がしている姿を眺めている様子・・・一年で学べることは限られているなかで、毎年繰り返し行われている作業を当たり前のように学ぶことが出来る時間の流れ。
ひとりでは難しいからこそ、家族や村人と協力して、営んでいる様子は忙しそうにも見えるけれど、その反面とても楽しそうに作業をしている姿がとても印象的でした。
秋のいま、出来ること
春夏秋冬がある日本。山々に広がる秋の色・美味しい秋の味覚を楽しみながらも、迫りくる冬に向けて、わたしたちが四季を感じながらできる小さな暮らしの知恵ってなんだろう。
いま、わたしはお山(かつらぎ自然のなまび舎)の畑で「大豆家族」というプロジェクトに参加しながら、大豆を育てています。いまは枝豆が食べごろ・・・!大豆家族では、畑の畝をひと家族ずつシェアしながら、大豆を育てています。
収穫した後は、大豆を料理に活用するだけでなく大豆を味噌や醤油づくりに活用し、保存食をつくるために育てている家族がほとんどですが、四季を感じながら、その地に合った暮らしを学び営むことができる場が近くにあることは、とてもありがたいなぁと感じます。(ただいまお山の仲間募集中!)
小さな暮らしのなかで、今できること・・・秋の収穫を楽しみ、冬に向けて畑の準備に忙しく動いている方もいるかもしれません。ただ消費する側になるだけでなく、例えば、お米や秋の収穫作業を手伝いや、栗拾いや銀杏を拾いに出かけて、身体を動かし四季を感じながら冬に向けて何か暮らしにスパイスが加わると、また暮らしに変化が生まれて楽しいかも。
そして、忘れ去られようとしている日本古来の知恵や技術を、興味のあるひとが少しずつ増えて一緒に学び、共有する時間や集まりが出来れば尚嬉しいなぁ。
文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎
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