毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、29回目はトキシラズ山本さんです。
「暑いですねー」
夏本番で暑い日がつづいていますね。誰にあっても「暑いですねー」というのが基本的な挨拶になってしまって、いま日本でされている会話の実に32%が暑さに関するものという統計データも、あるとかないとか。いや、無いんですけどね。
このあいだ、映画館に『ハン・ソロ』見に行ったら、おじいさんとおばあさんばっかりで「若い世代向きな映画やと思ってたけど興味あるんかなー」と思ってたんですが、エンドロールのところでおじいさんが「あーーー、よく寝たーーっ」と言って席を立ち出て行きました。涼みに来てたんですね。にしても、もっと低価格で涼めるとこあるやろ、と思ったりしてしまいます。さて、今日ご紹介する本はそんな価格に関する本です。
29のブック
『くらべる値段』おかべたかし・文 山出高士・写真
『くらべる値段』
発売日: 2017/08/08
著者: おかべたかし・文 山出高士・写真
出版社: 東京書籍
ページ数: 175ページ
ISBN: 4487810582
この本は、同様のものだけど安い商品と、少し高い商品の写真を並べ、その価格の差がどうして生じているのかをわかりやすく説明してくれる本です。たとえば、二つの革財布。片方は13000円、もう一方は28000円ですが、写真では何が違うのかよくわかりません。
値段の秘密はまず素材、安価な方は見えにくい部分には合成皮革を使っています。高級な方は全て本革です。さらに、お札を入れる所にマチがついているので出し入れがしやすくなっている。そういった職人さんの手間が価格に反映されているのだそうです。説明を読むと価格差にも納得のいく理由があって面白いものです。
我々は関西人だからなのか、安いことを正しさのように語ることが多いような気がします。でも、少し立ち止まって価格の理由を考えないと、「お金の多い・少ない」でしかものを見れなくなってしまうような気がするのです。
冒頭で登場した映画館のおじいさんも、家でクーラーかけて昼寝するよりも、映画館で1100円〔シニア割適用〕払って寝ることの何らかのメリットを感じたから来ている訳で、家で寝る方がコスト安、なんて私が断じるのは価値を一面的にしか判断していない恥ずべきことだと言えるわけです。
ホンマにそう思っているのか?と問われれば、まぁ、あれですけどね。どっちにしてもよく寝たかどうかは、心の中で思うにとどめて欲しい所です。
では、今回はこんなところで。
文:山本岳史(トキシラズ)
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