毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。
第24の発見 好きなものがある人へ:『モーモーまきばのおきゃくさま』1958
2月にご紹介するのは、まきばの草が大好きな牛のお話です。
<あらすじ>
自分の大好きなまきばの草を食べさせてあげようと、パーティーにいろんな動物を招待する牛さん。みんな喜んでやってきましたが、「ごちそう」が草だけと知り、がっかりして帰ってしまいます。だけど「わたしはすきよ」と残ってくれる動物たちもいました。
<心に響く言葉>
「モーモーまきばがきにいらないのかしら。くさのすきなひとはいないの?
「ぼくはだいすきだよ。」うまが、おおきなこえでいいました。
「わたしもすきよ。」やぎが、やさしいこえでいいました。
「あたしも。」ひつじのこが、かわいいこえでいいました。――― P22-23『モーモーまきばのおきゃくさま』マリー=ホール=エッツ ぶん・え、やまのうちきよこ訳 偕成社、1958
私はこの絵本を読んで、学生の時「めっちゃ良いから!」と自分の趣味のCDや本をさして興味もない友達にすすめていたのを思い出しました…。
あとがきで翻訳者の山内さんは「世間しらずでお人よしのうしは、世の中には、好みの違うものがいることを知って、悲しみますが、それだけに、自分のしあわせを分かちあえる友だちをみいだしたときの喜びは、ひとしお」
と書かれています。
自分が好きなものを他の皆も好きだとは限らない。
けれど「わたしはすきよ」と言ってくれる人もいる。
皆がそれぞれ好みが違ったり、別の価値観をもっていたりするのが当たり前だけれど、その中に同じ気持ちを共有できる仲間を見つけられたなら、こんなに嬉しいことはないのだと、好きなものがある人にとって心にしみるお話です。
文責:赤松かおり
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