毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、Books&cafe トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、62回目は陽文庫みずいけさんです。
62のブック
「雨のことば辞典」倉嶋厚、原田稔 講談社学術文庫
発売: 2014/6/11
著者: 倉嶋厚、原田稔
出版社: 講談社
サイズ: 文庫
ページ数: 272ページ
ISBN: 978-4-06-292239-5
元気象キャスターの倉嶋さんと、エッセイストの原田さんが、雨に関する語句・慣用句を集めて解説した本です。
日本には四季があり、雨の影響を受けやすい稲作を中心とした土地で、雨が生活に密接したものだったからというのが理由だと思いますが、見る限り、想像以上に雨にまつわる言葉が多い。
昨今では雨による悲しいニュースも多いですが、もちろん恵みをあらわす意味でも雨という言葉は使われます。
悲しいことが重なると、雨をただただ憎んでしまいそうになりますが、雨とともに生きてきた人達が古来から残した言葉を辿っていくと、雨が降って助けられたこと、悩まされたことがよく伝わってきます。
私が知っている雨の慣用句やことわざとしては
○晴耕雨読
○雨後の筍
○雨男 雨女
○雨安吾(うあんご)
仏教で僧が雨季の一定期間外出せず、寺などにとどまって修行すること。
(この言葉はかろうじて知っていた)
など、かなり数少ない…
本書では
【雨風食堂(あめかぜしょくどう)】
菓子も飯も食べさせ、酒も飲ませる食堂。甘辛食堂から転じた語か。
【糸雨(いとあめ、いとさめ)】
糸のように細い雨。小雨。「糸の雨」とも。
など、多くの人がはじめて聞いた!というような、雨にまつわるちょっと素敵そうな言葉も多くみられます。
「雨風食堂」なんて、こんな名前の食堂が実際にあったらイイ感じですよね。
(そういえば高砂市に【慈雨】という、名前も中身も素敵な喫茶店がありますね!)
巻末にも書かれていますが、雨に関する言葉として【ゲリラ豪雨】というのも、近年よく登場する言葉になりました。
【雨毛(うもう)】
細かい雨。髪の毛のように細い雨の意か。
【煙雨(えんう)】
煙のようにかすんで降っている雨。
などの言葉から想起される、しめやかな雨の様子とは全く違って、「ゲリラ豪雨」には何もかもを潰して、さらっていくようなイメージがあり、怖い。この先、雨にまつわる言葉で、これ以上悪そうな言葉が生まれなければ良いなと思います。
梅雨はもう少しで明けそうですが、雨の日に、雨についてゆっくり考えられる本はいかがでしょうか?と思いまして、今回はこの本を紹介させて頂きました。
と、思ったら、ほんとに7月14日はゲリラ豪雨(悪い方の雨!)がやってきてました!お昼過ぎからしばらくはホントに怖い時間でした…
おわり
文:みずいけあきら(陽文庫)
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