毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。
第28の発見 マイナス思考の人へ:その1『ふまんばかりのメシュカおばさん』1980
7月、8月は明るく前向きな主人公がでてくることが多い子ども向けの本では珍しい、主人公がマイナス思考のお話をご紹介しようと思います。
<あらすじ>
メシュカおばさんは朝から晩まで不満ばかり。ある朝、メシュカおばさんの舌がちくっとすると、現実が自分の不満の通りになっていってしまいます。
<心に響く言葉>
「『ふまんびょう』じゃよ。めったに おこらん びょうきじゃがな、
いつも ぶつぶつ ふまんばかり こぼしておると、いったことが
すべて ほんとうに なってしまうんじゃ」――― P21『ふまんばかりのメシュカおばさん』キャロル・チャップマンさく・アーノルド・ローベルえ、 好学社、1980
私は根っからのマイナス思考のため、つい物事を悪いほうに考えてしまいがちです。
なので自分に自信がなくて常に最悪の事態を考えてしまうメシュカおばさんに「これは私のことでは?」とおおいに親近感を抱いてしまいました。
どんどんエスカレートして現実化していくネガティブな妄想に「ストップ!スト~ップ!」と声をかけたくなってしまいます。
最後、ネガティブなことを言うとよくない、前向きなことを言いましょう、という教訓で終わっていますが、
実際には、コロナ禍で先がみえない情勢の現在、ふわっと「〇〇だったらいいのに~」と無理やりプラスに考えているより、あらかじめ最悪の事態を考えていたほうが、現実的にできるだけ何か手を打っておけることに気づきますし、気づけば行動に移しておくこともできます。
逆にいえば、現実をしっかり見据えているともいえます。
もちろん、悪口やゴシップはダメですが、弱気やマイナス思考も、ときにはじぶんをたすけることもある、と思わせてくれる物語でした。
文責:赤松かおり
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