毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、38回目はトキシラズ山本さんです。
38のブック
どうやら日本で本を読む人の割合は減っているらしく、文化庁の調べによりますと、月に5冊以上の本(漫画や雑誌は抜き)を読む人は7%だそうです。なんて少ないんだ!嘆かわしい!と書いてみましたが、5冊は結構多いですね、週に1冊以上読まないといけない。
仕事やら勉学やらに励むかたわら、家事もこなして、人付き合いのために飲めない酒も飲まなきゃならぬ、次の日は頭がいたいのに、フットサルや草野球などのスポーツに励まねばならない。もしくは、炎天下のBBQでしょうか、「わしゃ、外になんぞ行きとうない!家でそうめん食いたいわぁ!」とでも言おうものなら、週末は即あなたの家でそうめんパーテーが企画され、立案者の責任で色々準備しなきゃならない、などとまあ色々に忙しい。というわけで、本を月に5冊読むのは難しい。
しかし、5冊読めば、あなたも読書家の仲間入りです。国民の7%以内に入っているのですから、これはもう文句のないところでしょう。学校で1クラス30人とすれば、まあ2人。あだ名はハカセで決定です。
『百年文庫2 絆』海音寺潮五郎 コナン・ドイル 山本周五郎 ポプラ社
『百年文庫2 絆』
発売日: 2010/10/12
著者: 海音寺潮五郎、コナン・ドイル、山本周五郎
出版社: ポプラ社
ページ数: 155ページ
ISBN: 978-4591118849
といって、何から読めば良いのやら、と思われるあなたにオススメなのがポプラ社の百年文庫です。ちょっと変わった短編集で、一冊ごとに漢字一文字のテーマが設けられています。そのテーマで3作、国内外の小説が収められている。新書サイズで値段も手ごろなうえ、作家のセレクトがとても良い。俗っぽくもなく、かと言って通好み過ぎて読みにくいなんてこともない。
シリーズは100冊ありますのでどれでも好きな所から読んでやってください。さらにさらに、本のカバーを外すと安井寿麿子さんの版画があります。これには面白い仕掛けがありまして、巻数に対応した数字が隠されているという手の込みよう。至れり尽くせりのシリーズです。
この巻では歴史小説家の海音寺潮五郎が戦国武者の男同士の友情を描いた『善助と万助』、山本周五郎は武家社会の中の男女の関係を人情噺風に描いた作品『山椿』そして、シャーロックホームズでおなじみのコナン・ドイルは遠く離れ、数奇な運命に翻弄される恋人同士を描いた作品『五十年後』が収められています。
さぁみなさん、この本を手にとってお気に入りの作家を見つけてみましょう!読書家の道は開けたも同然です!
今回のコラムはなんだかバナナのたたき売りみたいになってしまいました。ではまた。
文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ