毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
毎月第3週目のコラム「くらしとしごと」。書いてくださるのは、神河町長谷でコワーキングスペースkajiyanoを運営する山口なおさんです。
第3回 くらしとしごと 「米作り60年。酒造りに挑戦。」
毎月第2土曜日にコワーキングスペースkajiyanoで開催中の「くらしとしごと」のイベントレポートと次回の予定内容について書き綴っていきます。
5月のゲストは加西市で「ひょうご酒米処合同会社」を営む初田源三さん。酒米の山田錦を中心に18ヘクタール超の田んぼを管理しています。自ら酒販免許を取り、昨年からはこだわりの酒米で作った日本酒を販売。初田さんの今までのこと、そしてこれからのことをお聞きしました。
初田さんとの出会い
初田さんとの出会いは、同じ神河の移住者Sさんからの紹介でした。結婚1年目、収入の少なかった私たち夫婦。「時給1500円の農業アルバイトせぇへんか?」とお誘いを受け、米作りもやったこともなかったのですが、「誰でもできる作業や。女の人でもできる。時給は老若男女一律1500円や!」と、その待遇に驚きました。結婚1年目は時間はたっぷりあったのでタイミングが合う時は参加していました(笑)
初田さんは年齢を感じさせないパワフルな方で、サッカーに農業に経営にといつも精力的。「酒米だけでなく主食米にも力を入れて販売していきたい」とウェブサイトの制作を主人がさせていただくことに。その後、酒販免許を取得されてからは、オリジナル日本酒のラベルを作ったりプレスリリースを作ったりと関わらせていただいています。
「初田さんという人のこの凄さをみんなと共有したい!」と今回のくらしとしごとのゲストにお呼びしました。
スーパーシニア 初田さんの農業人生
初田さんは昭和16年加西市生まれ。先日78歳を迎えられました。実家は山持ちで栄え、田んぼも所有。昭和32年、県立北条高等学校(現 播磨農業高校)に進学。(その時代、農家の跡取りは農業高校へ行くのが普通だったそうです)当時、田んぼ7~8反で3年働くと2階建ての家が建てられるほど米の価値が高かったのだとか。
ところが高校を卒業するころには状況が一変し、農家としての展望は明るくなく、親戚が営む家具会社に従事することに。トラック一杯に積んだ家具を、1日売り回って空にしていたと語る根っからの営業マンの初田さん。嫁入り道具でもあった高級家具の販売が軌道に乗って行きましたが、迎えた転機が阪神淡路大震災。震災を機に重い家具を買う方は少なくなり、家具屋は廃業。
初田さんのかねてからの夢であった米づくりを主とする農業法人を立ち上げられたのはH27年、74歳の時でした。そこからは常に前進!「こだわりの酒米で作った日本酒を作る!」「オリンピックに向けて国際基準のASIA GAPをとる!」と常にチャレンジを続けられています。
初田さんが大事にしていることの一つに黒字経営があります。それは綿密なスケジュール管理と作業時間の管理から生まれるもの。1反あたりのアルバイトの作業時間は15時間。時給1500円なので22500円。初田さん自身も田んぼ作業は行いますが、全体の1/3程度。時間にして年間1500時間程度とサラリーマンの平均より300時間少ない計算になり、「人件費も入れると農業はどうやっても赤字になる」という常識を覆しています。
初田さんの元気の源の一つが、60年近く続けられているサッカー。毎週金土日にはサッカースクールで指導にあたっています。また、農繁期以外は朝ごはんを家で食べてから喫茶店に行き、地域の方とおしゃべりするのが日課だそうです。
初めての夜開催!日本酒に合うイタリアンに日本酒のじかん。
日本酒「初田」は女性に飲んで欲しいという思いで作られたお酒。日本酒といえば和食が基本ですが、町内にあるイタリアンレストラン「ラ・ミア・カーサ」さんに「日本酒に合うイタリアンを作っていただけないでしょうか?」とお願いしたところ快く引き受けてくださり、当日は移住者のSさんと一緒にkajiyanoキッチンでライブ調理して下さいました!
メニューは「シチリア風カツオのたたき」「タラと新じゃがの煮込み」の2品、美味しいおつまみに日本酒。お酒が進みました(笑)シェフ自ら、コンセプトを説明いただき、参加の女性陣にはレシピもプレゼント!私も作ってみたいと思っています。
最後は初田さん直伝の健康ストレッチ(笑)
一昨年から作り始めたオリジナル日本酒。新潟の笹祝酒造さんとコラボしてラベルも一新した純米吟醸酒「初田」が現在発売中。今後どんな展開をしていくのか楽しみです!
ひょうご酒米処 公式サイト
https://hyogo-rice.co.jp/
●次回のお知らせ●#7
5/15(土)14:00〜15:30 飯田さん「サラリーマン生活と、監督業。」
来月のゲストは、姫路市在住の飯田さん。実は私たち夫婦と同じ学年です。平日はサラリーマンをしながら、女子フットサルチーム「播磨イーグレッツ」の監督をされています。平日の仕事終わり、そして土日の休日返上でチームが強くなるために全力を尽くす飯田さん。なぜ女子フットサルチームの監督になったのか、仕事とのバランス、人生観などをお聞きしたいと思っています。
くらしと、しごと。それぞれがどう関わり合い、人生の豊かさにつながっていくのか。ちょっと立ち止まって考えてみるひとときになれば幸いです。