毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
1年に何度かある「第5週目」の水曜日にだけそっとていねいにつづられる、宮下ひろみさんの本についてのコラム「五週目のほんばこ」の13回目です。
13個めのほんばこ|『じっちょりんのあるくみち』かとう あじゅ・さく(文溪堂)
みなさん、こんにちは。
梅雨入りが早かった割に、あまり降らない6月でしたね。
庭では先月植えた枝豆やトマトがすくすくと育っていますが、雑草たちの勢いもすごいです。
野の花が好きなので、かわいい花のつくものは残しつつ、抜くのですが、砂利やコンクリートの割れ目から顔を出している草たちの強いこと強いこと!どうやって根を張ってるんかいな、と毎回思いつつ、途中でブチリ‥
さて、今回ご紹介するのは、そんな草花のかげに、ひっそりと暮らし、種を運んで旅をする「じっちょりん」一家のおはなしです。
「じっちょりんのあるくみち」
かとう あじゅ・作
文溪堂 刊
じっちょりん って何でしょうね。
聞いたことのない音の響き、かわいいけれど、虫でも妖精でもない不思議な生き物です。
草花の影で静かに暮らし、葉っぱや花粉を食べて、見つけた種は「たねかばん」の中に大事にしまいます。かばんがいっぱいになったら家族で種まきに出発!
小さな小さなじっちょりんたちは人や動物に見つからないように隠れながら街を歩きます。壁の隙間、道路の割れ目、光の差し込む踏み板の下などに丁寧に種を植えます。きれいな花が咲きますように、と。
そして一日の仕事を終え、夕暮れ時に以前種をまいた街路樹の下に行ってみると‥さいていました!たくさんのはなが。
じっちょりん一家はその場所に居を構え、次の旅立ちまで、種を集めて暮らすのです。
歩き慣れた道も、よく見かける草花も、じっちょりんの視点で考えてみると面白いです。3歳の娘も大好きで散歩の時に、これもじっちょりんが植えたんかなぁ?と言っています。
夏・秋・冬の続編もあり、四季の草花を楽しめます。
文:宮下ひろみ