かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」32


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第32の発見 孤独がこわい人へ:『おばけと友だちになる方法』2021

おばけと友だちになる方法

もうハロウィンは終わってしまいましたが、11月は、かわいい「おばけ」のお話をご紹介します。

<あらすじ>
女の子が「おばけ」と親友になるまでを、「おばけ」の性質(傷つきやすい)や好み、お世話の仕方と注意点(たとえばマシュマロと間違えて食べられないように)をハウツー本の形式で描きます。

<心に響く言葉>

そして、おばけと友だちになって、なにがいちばんすばらしいって、最高の友情がずっとつづくのです・・・永遠に!

――― P37『おばけと友だちになる方法』レベッカ・グリーン 作、岸本佐知子 訳 福音館書店、2021

「おばけ」は現実にはいないので、これはきっとイマジナリーフレンド(空想上の友達)のお話だと思います。

宮崎駿『となりのトトロ』や西原理恵子『いけちゃんとぼく』など、
イマジナリーフレンドを扱った作品はたくさんありますが、
たいていのお話では子どもが成長して大人になると、そういう存在は見えなくなったり、いなくなってしまいます。

この絵本が新しいのは、主人公の女の子が大人になって、社会人になっても、
親になっても、おばあさんになっても、そして死んだあとでも
「おばけ」が最高の相談相手、親友でいてくれるところです。

社会学者の古市憲寿さんが「毎晩イマジナリーフレンドと頭の中で話している」と明かして話題になっていましたが、
子どもによくあることなら大人にだってそういう存在がいても特別おかしなことではないのではないでしょうか。

大人になってもそういう存在がいることを積極的に肯定するこの絵本は温かいです。
何より「おばけ」となら一生、その後も永遠にいられて、孤独と無縁の生活を送れます。

おばけと友だちになる方法
文責:赤松かおり
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赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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