毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「アルデナイデ農園」、「トマト部」といろいろな活動をされているよこはたほくとさんによる、写真と徒然なのんびりコラム、どうぞお楽しみください。
「みち。」
桜色の景色が。
新緑の新しい芽吹き色に変わってきました。
みなさま、いかがおすごしでしょうか。
暑い日が、ギンギンと紫外線をつれてきたり。
寒い日も、名残りを惜しむようにシンシンとやってきて。
目を覚ました、名もない花は。
風と踊りながら。
背伸びする、名もない花は。
雲と語らいながら。
日々、季節の映りが変化して。
ヒトも、衣替えのタイミングを考えるこの時期は。
個人的に、大好きな時期です。
先日、15年ほど前に、ぼくが住んでいた家付近を、友人と訪れる機会がありました。
近くの商店街を歩きました。
近くの川辺を眺めました。
住んでいた当時は、いろいろ悩んだり、いろいろ学んだりと、しんどいことが多かったですが、青い春が、敷き詰まっていたように感じました。
散策時に、降っていた雨の香りは、当時の湿気くさい部屋のにおいを連想させてくれました。
時間が経って歩く道は。
迷わず行けよと、背中を押されても。
こんな道あったっけ?と、迷ってみたり。
行けばわかるさと、突き進んでみても。
どこにいるのかすら、わからなくなってしまいがち。
でも、ずっと歩いて生活してきた道だったことが、おもしろかったです。
ぼくは、ビビりな方向音痴なので、知らない土地に行く時などは、入念にリサーチしておかないと不安でたまらなくなります。(それでも迷子になりますが・・・。)
でもその日は、自分が住んでいた懐かしい道を歩いていて。
覚えているようで忘れている風景に、ソワソワしはじめた時。
友人は言いました。
【またドキドキできるやん。】
ダーと叫びたくなる名言。
違うコトバに言い換えようとする友人の口をふさぎました。
既存している記憶が、新しく生まれ変わるような。
素敵な発想だと思いました。
そして、薄れた記憶にネガティブになりそうな場面において、なんてポジティブでハッピー野郎が隣におるんやと、友人の存在に感心しました。
忘れたわけじゃなく。
新しい発見ができるのです。
とても素敵で、とてもドキドキしました。
同時に、自分が歩んできた道にも、おきかえることができるように思いました。
行き先がわからず立ち止まり。
どう歩んで今に辿りついたのか覚えておらず。
でも、がむしゃらに歩んできた道を振り返ってみると。
たくさんのヒトと一緒に笑っていて。
そこにはいつも、ドキドキがありました。
それが一番大切なものなんだと気づくことができました。
今をどう歩んでいても。
今を振り返る道は、きっとできていて。
また同じ道を歩んだとしても。
またたくさんのヒトと笑いあいながら。
またドキドキしていけたらいいのにな。
これからもずっと。
と、思います。
風と踊る、名もない花は。
雲と語らう、名もない花と。
ナンバーワンでも、オンリーワンでも。
どれもきれいだから仕方なく。
ぼくにも、いつか歩む花道があるとすれば。
歩みはじめる一歩手前。
ひっそり咲いてる花を。
こっそり大切にできるヒトになっていきたいです。
その道に辿りつくまでが、長い長い道のりになりそうですが。
それはそれで。
またドキドキできるし。
さて。衣替えはいつしようかな。
第18回目のコラム。
おわり。
文責:よこはたほくと
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