古くから摂播五泊にも数えられる的形地域に、17代にわたり塩田庄屋として受け継がれてきた[旧植田邸本家]。
その明治45年に建てられた、書院造の屋敷に惚れ込んだ方がいます。
– 井上茶寮店主、井上さん
井上さんはもともと社寺仏閣に興味があり、的形に“全国の社寺仏閣に納める和船を造っている工場がある” と聞いたのがこの地に訪れた最初のきっかけでした。
そのときは漠然と古民家を探していられたそうですが、地元の方に旧植田邸を紹介され、その姿に一目惚れし即決。
この場所を通して
「古と現代の、人と人の交錯点の場として育んでゆければ」
という、井上さんの願いを形とするため、すぐにリノベーションを開始。
そして、2017年3月。
現代のおもてなしの舞台として、旧植田邸が新しく生まれ変わり、[井上茶寮(いのうえさりょう)]が此の地に暖簾を掲げました。
体にも舌にも、目にも嬉しい
井上茶寮という店名はもちろん、オーナーシェフでいらっしゃる井上さんのお名前から。
2019年9月に大幅にリニューアルされ、より無駄のない潔くシンプルな空間に生まれ変わりました。
井上茶寮さんで楽しめるのは、昼定食の時間と茶房の時間です。
茶の葉と茶菓子は手土産として、持ち帰ることもできます。
11:30 – 14:00 昼定食
リニューアルにあわせ、一種類のみ3500円の[昼定食]とし内容を一新。
(苦手やアレルギーなどがある場合は、あらかじめ予約時にお伝えください)
材料は、どれも井上さんの目利きで選ばれたものばかりで、旬の食材など、季節を楽しむことができる内容です。
地元を中心とした、生産者の顔がわかる食材を中心とし、シンプルでありながら奥深い品が並びます。
発酵などもより多く取り入れ、リニューアル前よりも[和]のテイストが高まった内容となっています。
だからといって[和食]という枠には縛られていません。
フレンチが元々のベースである井上さんによって、食材はその日のよりよい状態で調理され、一皿一皿が最善の状態で提供されます。
昼定食は一日2組限定。
(グループの人数によっては1組)
お米はグループ毎の予約の時間にあわせて、それぞれ土鍋で炊き上げるため、電話での予約が必須となっています。
付き出しから始まり、メイン、そして最後に茶菓子と一杯のお茶まで。
ただ“定食で腹を満たす”という昼食とは、全く異なります。
最良のタイミングで最善の一皿を、流れるような心地よい時間の中でいただく井上茶寮さんの[昼定食」は、井上さんというアーティストの作品(お料理)をライブでいただいているような感覚です。
14:00 – 17:00 茶房
14時からは茶房の時間。
こちらはご予約なしでも、どうぞ。
井上さんが厳選した数種の茶の葉と、人気のカヌレ羊羹などがいただけます。
また、不定期で登場する茶菓子も楽しみの一つです。
11:30 – 17:00 持ち帰り、手土産
手土産にぴったりな、贈答用の専用箱におさめられた羊羹や、オリジナルプロダクトの茶の葉などは、一日を通して購入可能です。
また、一部の商品はWEBショップでもご利用いただけます。
カヌレ羊羹は催事や雑誌などにも多数紹介されている、人気の品。
季節の食材を使用した、期間限定の商品なども登場します。
そして、[茶の葉]。
昨年より発売となった 「本当に美味しいお茶をもっと知ってほしい」 と願う井上さん待望のプロダクトがいよいよ始動。
デザインや印刷にも一切手を抜かない、こだわりを随所に感じ取ることができる品です。
井上茶寮の扱う茶葉は一般的な「日本茶」を想像して飲むとイメージと少し違うかもしれません.
産地や製法にとらわれることなく独自の目利きを通して出会った茶葉はどれも個性的で他にはない香りと味わいを持っています.
優れた生産者の手によって丁寧に仕上げられ, 全国の茶葉生産量と比較しても数%に満たない希少な種類の茶葉に私たちは辿りつきました.
日本に住んでいるとお茶はとても身近で、身近すぎるが故に、日常の中のありふれた何気ないものになってしまっているかもしれません。
しかし、厳選された茶葉を用い、丁寧に淹れられたお茶は、巷にありふれたお茶とは一線を画します。
それは、特別な時間になり得るのだ ということを改めて知ることができました。
[茶の葉]シリーズは、特別なときの贈り物にも最適ですが、忙しい日々の中で大切に過ごすための一時にも。
日本に住むが故に、いつしか忘れてしまったお茶へのスタンスを、今一度考え直すきっかけとなりそうです。
2020年4月 レジデンスペース[M1997]
今までギャラリーなどとして使用されていた一角を大幅リニューアルし、2020年4月26日より、レジデンスペース[M1997]として新たに公開。
“レジデンススペース”とは、滞在可能なスペース。
そして、“アーティスト・イン・レジデンス”とは国内外のアーティストが一定期間その場に滞在し、その土地や暮らしの中でインスピレーションをうけながら作品などを制作し、発表することを言います。
M1997のオープニングとなる4月26日〜5月24日には、フランス・パリを拠点とする Alexandra Mocanu(アレクサンドラ・モカニュ)さんを迎え、日本国内初となる個展を開催。
彼女にとっても、初のアーティスト・イン・レジデンスとなります。
M1997は、今後年数回のアーティスト・イン・レジデンスの発表を主軸とし、並行して国内外のアーティストや作家さんの展覧会を企画。
その他の期間はセレクトショップとして機能していきます。
的形に、姫路に播磨に。
そして井上茶寮さんが面している瀬戸内にも影響を与えるような、新しいスペースが2020年春誕生します。
現代における、おもてなしの舞台として
無駄を削ぎ落とした空間の美しさ。
丁寧な料理、器使い。
厳選した素材、心遣い。
和の中にある抜群のモダンセンス。
神戸や大阪、そして関東でのイベントなどにも積極的に出店されています。
ゆかりのあるフランスでもお茶のワークショップをするなど、その活動はますますひろがるばかり。
今春OPENするM1997にも、多くの方が訪れることでしょう。
最新情報や詳細などは、井上茶寮さんの公式WEBにてご確認ください。
https://www.inouesaryo.jp/
「的形のなかでも歴史のある旧家が空き家状態だったので、いまのように様々なお客様が訪れてくれるような場所に変わってくれて嬉しい。」
と地元の方からの声もあるそうです。
「ここでやってよかった」
と、井上さんは静かな口調で語ってくださいました。
古くから今も変わらない、よいものを大事にする感覚。
新しいものも積極的にとりいれ、必ずしも変化を恐れない、よいものはよいとする柔軟な感覚。
井上さんの感覚が、この空間をどのように活かし、そして今後も変化させていくのか楽しみでなりません。
姫路の中心から向かうと、ちょっとした小旅行のような気分も味わえます。
的形の地に明治時代から佇む屋敷。
ここに吹き込まれた新しい風を感じにいってみてはいかがでしょうか。
[井上茶寮] いのうえさりょう 詳細
住所:
姫路市的形町的形1997
TEL:
0792 54 0075
営業時間:
11:30〜17:00
定食 [ 11:30 – 14:00 ]
茶房 [ 14:00 – 17:00 ]
土産 [ 11:30 – 17:00 ]
※ 12歳以下のお客様の入店はご遠慮いただきます
定休日:
水曜
※不定休あり
駐車場:
5台