毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、17回目はトキシラズ山本さんです。
苦手なサプライズ
みなさん、サプライズはお好きですか?
思いがけないタイミングや場所でお祝いしてもらうアレです。サプライズプレゼントとか。
私はどうにも、子供の頃から苦手です。
もちろんプレゼントは嫌いではないです。もらうのも、渡すのも。しかし、サプライズとなると一気に複雑な心境になる。そもそも贈り物というのは、その時点でサプライズなわけで、もう“びっくり”の水準は十分にクリアしているわけです。その上驚かそう感をプラスしてしまうと、“びっくり”過剰な状態になり、余計なことをいろいろ考えて素直に喜べない気がします。
「手間だったろうなー」とか「もっと派手に喜んだ方がいいかなー」とか「嘘っぽいほどテンション上げてしまったけど、もうこれで乗り切るしかないなー」とか。
うれしいサプライズ
はてさて、そんなパリピには絶対向かないメンタリティーの、「クラッカーは使い捨てでもったいな、連続使用できないものかな。あとこれは、紙ゴミ?」とか考えている、トキシラズ山本ですが、思いがけないサプライズが嬉しいものがあります。
それは、もう終わったと思っていたものの続編が始まった時です。記憶に新しいところでは映画の『スターウォーズ episode7』がそうでした。まさか、またスターウォーズを劇場で観る日がこようとは。
小説でいうと『ミレニアム』シリーズ、こちらは作者のスティーグ・ラーソンがお亡くなりになっているので、もう続編はないと思いきや、まさかの作者交代で再スタートという離れ技でした。
17のブック
『シャーロック・ホームズ 絹の家』アンソニー・ホロヴィッツ
そんなわけで、今日ご紹介したい本は、アンソニー・ホロヴィッツ作 駒月雅子訳『シャーロック・ホームズ 絹の家』です。
『シャーロック・ホームズ 絹の家』
発売日: 2013年4月
著者: アンソニー・ホロヴィッツ 作・駒月雅子 訳
出版社: 角川書店
ページ数: 349ページ
ISBN: 4041104513
こちらはなんと、シャーロック・ホームズの作者コナン・ドイルの子供たちによって設立されたコナン・ドイル財団公認の、いわば正真正銘のシャーロック・ホームズの物語なのです(非公認のものはプロ・アマ問わず沢山あります)。
ファンとしては作者や監督の交代はどうしてもオリジナルとの比較や粗探しをしてしまいがちです。私もしてしまいます。それはそれで楽しいものではあるのですが、最近はもう素直に得難い続編を得たことを喜びたいという気持ちの方が強くなりました。
シャーロック・ホームズにしては話が長いし、マイクロフト(シャーロックの兄)がですぎなのはBBCドラマの影響か?とか思いましたが、ホームズとワトソンが犯罪者を追い詰め、わりと無防備にアジトに乗り込んでいく、その姿が再び読めるだけでもう何も文句はありません。
みなさんも思い入れがある作品だけに幻滅したくなくて手を出していない小説はありませんか?その作品、意外といいかもしれませんよ。その時は、なるべく好意的に接しましょう、何と言っても、楽しむためのものですからね。
文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ