毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、19回目はトキシラズ山本さんです。
有るか・無いかは、わからない!
私が子供の頃、我が相生市にも何軒かの本屋さんがありました。
個人経営の小さな店、チェーン店、チェーン店風の店、古本屋。マンガ少年だった私は、それらの本屋をはしごするのが好きで、母親には「さっきも本屋行ったやん」と言われてしまいますが、さっき行った本屋とこの本屋は違う本屋で、もしかしたらこの本屋にはまだ出会っていない面白いマンガがあるかもしれない。そう思うと、みすみすチャンスを逃すような気がして、いてもたってもいられませんでした。
山本少年のこのような行為は、主に情報不足に起因しているのですが、そもそも総当たり的すぎるというか、今も続くリサーチ下手が、子供の身ゆえに際立っていた感があります。実際、親に頼んで買ってきてもらうと「3巻くらい先まであったで」ということもありました。
しかし、こうやって本屋をめぐることは、とても楽しかった。あるかないかもわからない新刊を探しに行ったり、棚の端から眺めて行って面白そうなタイトルを探したり。ほとんどが空振りに終わるとしても、特別な一冊を見つけられたときに味わえる、体の中で何かがボワッと吹き上がり、時間がギュッと凝縮されるような、独特の高揚を今も覚えています。
わかる!けど、
時は流れて、今ではインターネットを使えば、簡単に新刊情報を得ることができます。それどころか、ボタンひとつで(この言い回しもそろそろ古くなりますね、タップひとつ?指先ひとつ?、、北斗の拳か!)発売日に家に届く世の中になりました。
では、大人になったトキシラズ山本は本屋をウロウロしなくなったかと言われれば、もちろんうろついています。なぜなら、子供の頃と同じように、まだまだ情報不足だからです。まだまだ知らない作家がいて、数え切れないほどの作品がある。本屋に行けば、これまで気にも留めなかったジャンルが目に止まったり、装丁だけで中身も確認せずに買ってしまうような本に出会うこともある。
さあさあ、読書の秋ってやつがやってきました。もう予備知識なんてものはかなぐり捨てて、あなたの野生の勘だけを頼りに本屋をうろついてみよう!
(今回は本の紹介はないですが、北斗の拳は最高だと思います。好きな登場人物はトキです)
文:山本岳史(トキシラズ)
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