かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」35

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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、35回目はトキシラズ山本さんです。

35のブック

2月ではありますが、明けましておめでとうございます。トキシラズ山本の今年初のかきくけコラムです。今年もポチポチとこのコラムをやらせてもらおうかと思っております。お付き合いくだされば幸いです。

今年ももう一ヶ月経過したわけで、話題としては少々古くなっている感もありますが、年頭の目標などについて書きたいと思います。店をしていると「今年はどんな一年にしたいとお考えか?」というような質問を受けることがままあります。本心を言えば「そのように志高きものなど持ち合わせぬ、我が人生に先行きなし!」といったのが実情ですが、それでは馬鹿の馬脚が丸出しですので、事前に用意ができています。「今年は日本のことを知りたい。」というのが今年用の回答です。

えらく漠然としていますが、その方が潰しがきいていいと思います。あと、質問をしたお客さんは店の方向性の話がしたかったんだと思いますが、そこは気づかないふりをします。さてさて、これをお読みの善男善女の皆さんも日本に興味がおありでしょう。そんなあなたに本をご紹介します。

『日本力』松岡正剛 エバレット・ブラウン

『日本力』
発売日: 2010/1/30
著者: 松岡正剛、エバレット・ブラウン
出版社: PARCO出版
ページ数: 304ページ
ISBN: 978-4891948146

 

この本は日本が気になるようになった出発点の本です。日本文化研究の第一人者である松岡さんと写真家のエバレットさんの対談を収めた本。対談なので内容はとてもわかりやすいですが、どの話を取っても深い考えをもとにした、読み応えのある内容です。日本に生まれ住んでいる日本人には、何が日本的なのか見えないところがあります、だって普通だから。そこのところをアメリカ生まれのエバレットさんがツッコミまくります。

ちなみにエバレットさんの妻はマクロビ料理研究家の中島デコさんです。

『忘れられた日本人』宮本常一

『忘れられた日本人』
発売日: 1984/5/16
著者: 宮本常一
出版社: 岩波文庫
ページ数: 334ページ
ISBN: 978-4003316412

 

どうしても日本文化という響きからは、お茶や生け花、侘び寂び、芸者。というような高尚なものを思いうかべてしまいますが、こちらの本はもっと市井の中、村の中の日本人の姿を見せてくれます。作者の宮本さんは学者ですが日本全国を歩き回り、その土地の人から話を聞いてきた人です。なのでこの本に書かれている文章は生き生きとしています。(特に行方不明の子供を、村のみんなで探す話はよくできた童話か純文学のようです)村システムの完成度の高さを感じる一冊です。

そもそも私は“普通”という感覚に興味があって、日本文化が知りたいというのも(普通の)日本文化が知りたいのです。そんな私にとって本書は格好の資料です。あと、80年前の村の普通は、真面目で、割と破廉恥です。

テーマに沿って本を読むということはこれまであまりしてこなかったですが、今のところいい感じです。皆々様もいかがですか?

文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ

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あさのは商店

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姫路生まれ・姫路そだち。姫路→大阪→徳島→姫路。
肌の弱い自分が必要なものを近くで買えるとうれしいなーと、肌にやさしい日用品「あさのは商店」をしています。
趣味は、ウクレレ・縫い物・言葉の観察など。

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