不定期で、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという播磨出身のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。
第55の発見:切ない恋物語が読みたい人へ『うたえなくなったとり と うたをたべたねこ』(2023)
12月はクリスマスということで、ちょっとせつない恋物語をご紹介します。
<あらすじ>
窓辺の鳥に恋をした黒猫。歌えなくなった鳥は、あなたに歌を食べられたと黒猫に言いました。誤解を解きたくて、黒猫は鳥にせっせとプレゼントします。
<心に響く言葉>
ねこは いつまでも いつまでも とりを だきしめて いました。
―『うたえなくなったとりとうたをたべたねこ』p30、たなか しん 2023、求龍堂
窓辺にいる歌えない鳥に、いつも黒猫がいろんなものをくわえて持ってきます。
海岸で拾った異国のワイン、貝殻、知恵の輪・・・そのたびに黒猫は鳥にそれにまつわる物語を聞かせます。
鳥は歌えないし、思いを伝えることもできません。鳥の飼い主は、鳥が大好きで剥製にしてしまったのです。
でもまだ心は残っています・・・。
純粋に相手を思うほど、いろんなものをあげてみたり、傷つけることを言ってしまったり、不器用な黒猫と小鳥の一途な思いに心をぎゅっとつかまれました。
読むと幼い頃の恋ってこんな感じだったな…って思い出されるかもしれません。
12月のクリスマスの夜におすすめしたいラブストーリーです。
文責:赤松かおり
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