かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」47

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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、今回はトキシラズ山本さんです。

47のブック

『つけびの村』高橋ユキ 晶文社

『つけびの村』
発売日: 2019年9月
著者: 高橋ユキ
出版社: 晶文社
ページ数: 304ページ
サイズ: 四六判
ISBN: 978-4-7949-7155-5

事故に遭遇したことがあります。十年くらい前ですが、車で走っていると前の車が大きく迂回し、何かを避けてい通行している。動物の死体かなーと思ったのですが、道の真ん中には、おじさんが倒れていました。すわ一大事!と車を止めて駆け寄ると、そこにはもう何人かの人が集まっていて、警察も救急車も手配済み、おじさんも少し動けるようになって、歩道に移動し、皆で救急車の到着を待っておりました。

とそこに、一人のおばさんが駆け寄ってきました。そして開口一番「私が気功で直したる!」と宣言し、やおら気を練り始め、おじさんの頭に気を送り始めたのです。おそらくそこに居た全員が、このタイミングは違うんじゃないか?と思ったはずですが、誰も何も言えませんでした。気の存在云々の話ではなく。

『つけびの村』はルポルタージュです。山口県で起こった、12人しかいない村の内5人が殺害され2軒が放火される大事件。犯人と思われる人物の家には、「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」という犯行予告ともとれる川柳が残されており、話題性もあることから、ネットでも「現代の八つ墓村」と言われ、騒がれました。その真相、というか、犯行に至った動機を調査したものが本書です。

著者の高橋ユキさんは、本当に足を使った取材をされていて、何度も犯人にも会いに行き手紙のやり取りもします。また、本になるのか、お金になるかどうかもわからない段階で、山口の村に何度も足を運び、現地で話を聞き、関係者に会いに行きます。そんな中で、村人全体に流れる「うわさ話」中心のコミュニケーションに違和感を覚え、「うわさ話」の真相を紐解いていくところが大きな読みどころになっています。

このルポは元々はネット連載の記事でした。高橋さんは本にしようと出版社に持ち込んだのですが、どこも断られる。書籍にするには、インパクトが足りなかったからです。

しかし、高橋さんには隠し球がありました。村の生き字引こと田村勝志さんの証言です。田村さんは“「事件が起きたのには、理由がある」”と言いながらも“金崎全員に関する大きな問題”であり“子孫が生きてるからなあ、それらに影響を及ぼしちゃいけんから”ということで、10年後に話すと、高橋さんと約束しました。生き字引田村さん、この時88歳!

果たして田村さんの口を割らせることができるのか?そしてその真相は読者の期待に応えられるものなのか?是非読んで確認してみてください。

文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ

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姫路生まれ・姫路そだち。姫路→大阪→徳島→姫路。
肌の弱い自分が必要なものを近くで買えるとうれしいなーと、肌にやさしい日用品「あさのは商店」をしています。
趣味は、ウクレレ・縫い物・言葉の観察など。

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