かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」8

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第8の発見 失敗を恐れている人へ:『ピノッキオの冒険』1883

10月はディズニーアニメでも有名な『ピノッキオの冒険』からの言葉をご紹介します。

<あらすじ>
一本の棒きれから作られたあやつり人形のピノッキオは、「本当の人間になりたい」という願いを持ちながらも、意志が弱く、誘惑に負けたりだまされやすかったりして、作ってくれたジェッペットさんや、信じて見守ってくれる仙女さまを裏切り続けてしまいます。

<心に響く言葉>

「ああ、仙女さまに、どんな顔をして会えばいいんだろう。
ぼくを見たら、なんて言うかなあ。・・・・・・この二度目のいたずら、
許してくださるだろうか。・・・・・・いや、ダメだ、とても許してはもらえないな。
・・・・・・ああ、もう絶対に許してはもらえない!・・・・・・でも、
それが報いなんだ。いつだって、いい子になるって約束しておきながら、
それを決して守ったことがない、悪いぼくなんだもの」

『ピノッキオの冒険』カルロ・コッローディ作、大岡玲訳、光文社古典新訳文庫、1883、p204

「もう絶対しない!これが最後!」ピノッキオは失敗するたびに、心から反省してジェッペットさんや仙女さまに更生を誓うのですが、ジェッペットさんが、一枚しかない上着を売って買ってくれた教科書を売って遊びに出かけたり、増やしてあげると言われて、悪い仲間にお金を巻き上げられたり、何度も何度も目の前の誘惑や美味しい話に負けてしまいます。

読んでいると、自分の弱さにふりまわされて失敗を繰り返すピノッキオの未熟さがもどかしいですが、だからこそ、知らず知らずのうちにピノッキオに感情移入してしまいます。

そして、とうとう最後に本当の願いが叶った瞬間には、心から喜べるのだと思います。

現代は、プライベートまでSNSで見張られて、すぐ炎上して謝罪しなければいけなくなったり、失敗できないような息苦しい空気があるように思います。

ピノッキオまでいかなくとも、人生では失敗してみないと学べないことがあると思いますが、失敗すること自体が恐れられているように感じます。

物語のなかでピノッキオのことはずっと「あやつり人形」と書かれています。

現代に生きる私たちも、自由に生きているように見えて、空気を読んで無難な行動をとるるように縛られていて、みんな本当の自分になりたいと願っているのかもしれません。

文責:赤松かおり
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2011の震災で東京→姫路に自主避難。姫路はおろか、関西全体に馴染みがないため、日々を楽しく過ごすために情報収集中。美味しいものを食べることが大好き。でも震災後は安全であることも大事に。WEBや印刷物の制作をお手伝いする「OTETEお手伝い」を運営中。

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