毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
1年に何度かある「第5週目」の水曜日にだけそっとていねいにつづられる、宮下ひろみさんの本についてのコラム「五週目のほんばこ」の7回目です。
ななつめのほんばこ|『木のうた』 イエラ・マリ作 (ほるぷ出版)
みなさん、こんにちは。 少しずつ木々が色づき始め、気持ちのいい秋がやってきました。
今回ご紹介するのは、 イエラ・マリ作 「木のうた」 ほるぷ出版 です。
大きな木を中心に、四季の移り変わりを美しく描いた絵本です。
始まりは早春。雪に覆われた土の下で草花は芽吹きの準備をしています。
雪が溶けてリスが地上に出てくる頃、新芽が伸び、つがいの鳥がやってきます。
巣づくり、ひなの誕生、鳥の親子を見守りながら木は葉を茂らせます。
夏が過ぎ、広く伸びた枝いっぱいに実をつけた木。 成長した鳥たちは巣立ちの練習。
美しい紅葉がはらりはらりと落ち始めるころ、鳥たちは旅立ち、リスは巣ごもりの準備を始めます。
そして冬。しんしんと降り積む雪の下、土の中でリスはまぁるくなって眠ります。
そしてまた始まりのページへ。新しい春がやってきます。
著者のイエラ・マリはイタリア人ですが、日本の風景かと思うような、なじみの四季の色彩です。
1歳の娘も大好きで、葉っぱや鳥、リスの動きを追いながら繰り返し読んでいます。
日本で初版が発行されてから42年、今も版を重ねています。
どのページから開いても大丈夫。大きな木と、のどかな景色を楽しんでください。
文:宮下ひろみ