かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」26


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第26の発見 お散歩をもっと楽しくしたい人へ:『子どもと一緒に覚えたい道草の名前』2017

自粛生活の中、健康のためにお散歩やウォーキングをされている方も多いと思います。
今回ご紹介するのは、道端でよく見かける草花の写真と絵がたっぷりのビジュアルブックです。

最近は植物の名前がわかるスマホアプリもありますが、この本は作者が農学博士なので、草花をつかった
遊び方や色んな能力、食べられるかなどの豆知識が満載でお子さんと一緒に楽しめます。

<心に響く言葉>

幸せの象徴「四つ葉のクローバー」は、突然変異、または成長過程で踏まれることで傷つき、生まれることが多いそう。(中略)
幸せは案外踏まれて育つ、のかもしれない。

――― P27『子どもと一緒に覚えたい道草の名前』稲垣栄洋監修・加古川利彦絵、 インプレス、2017

傷ついた分だけ、幸せを与えられるようになる・・・。クローバー、けなげです。

こんなふうに雑草たちにもさまざまな個性や能力があり、読んでいたらまるで人間のように思えてきます。

エノコログサ(ねこじゃらし)はふわふわした愛嬌のある癒し系キャラ。

ドクダミは動脈硬化や高血圧を予防するとても役に立つ薬草にもかかわらず、独特のにおいのせいで嫌われがちな、
影があるアウトサイダー。

ススキは、日本だとおとなしい存在ですが、海外に渡ったとたん敵なし状態で爆発的に増え、
現地で見た目も性格も大きくなっているそうですが、人間でもありそうな話です。

踏まれても立ち上がる雑草魂、とよく言われますが、実は、多くの雑草は立ち上がらないそうです。
そこで無理に立ち上がるよりも無駄な力を使わず温存して、生き延びることを優先します。

人間もつらいことがあったら、無理に強く立ち上がらずともパワーを温存して生き延びるほうが大事かもしれません。

置かれた環境で生きる強さ、生存戦略の幅広さ、他の植物と被らない多様性・・・人間も学ぶことが多いです。
疲れてうつむいた時、目にとまった雑草たちが励ましてくれるかもしれません。


文責:赤松かおり
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キーワード「赤松かおり」

赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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