かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」41


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第41の発見 サステナブルな行動について考えたい人へ:『やくそく』2014

やくそく

 

12月はサステナブル(持続可能)な行動について考えさせられる絵本をご紹介します。

<あらすじ>
近未来を思わせる都会で、人々は少ない富を争い、奪い合って生きていました。
主人公の貧しい少女「わたし」も、自分よりもさらに貧しい人々に盗みをして生きています。
ある晩、おばあさんのカバンをひったくろうとすると、おばあさんは不思議なことをいいます。
「おまえさんにやるよ。これを植えるってやくそくするんならね。」
カバンの中身はたくさんのドングリでした・・・。

<心に響く言葉>

わたしは、食べもののことも、お金のこともわすれ、生まれてはじめて、
ゆたかな気持ちになった。
おもいがけない幸運にめぐまれたときみたいに。

わたしは、緑の世界をおもいうかべながら、
ドングリをまくらにして、ねむった。

そして、朝になると、うごきだした。
「やくそく」をまもるために。

―『やくそく』p13、二コラ・デイビス 文・ローラ・カーリン絵 2014、BL出版

この転機のあと、絵本の暗い色調ががらっと変わり、さまざまな明るい色が登場します。

科学者の作者二コラ・デイビスは、人々が乏しい、残された資源を戦いで奪い合うのではなく、
1人1人が木を植える(=サステナブルな生活を送る、行動をおこす)ことの大切さと希望を書いています。
するとその小さな行動が、私たち自身の未来の幸せにつながるということを
子どもにもドングリのたとえでわかりやすく伝えてくれています。

大人も子どもも気候変動のすすむ世界の中で、サステナブルな行動について考えてみたい人に読んでいただきたい絵本です。

やくそく
文責:赤松かおり
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赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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