かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」52


不定期で、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという播磨出身のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第52の発見:自分に正直に生きたい人へ『マリはすてきじゃない魔女』(2023)

4月は自分に正直に生きたいと思わせてくれる本をご紹介します。

<あらすじ>
主人公マリの住む魔女の世界では、人間と共存するために、人の役に立つ魔法を使う魔女は「すてきな魔女」と褒められ、自分のために魔法を使うのは「すてきじゃない魔女」と批判されます。しかしマリは自分が食べたいからドーナツを巨大化させたり自分のためだけにおしゃれをしたり自由奔放に自分のために魔法を使います。

<心に響く言葉>

上品できちんとしていて、勇気があって、ピンチになっても落ち着いて、ベストな行動がとれる。それがレイの信じてきた「すてき」です。であれば、いまの自分は最高にすてきではないでしょうか。

もう魔女学校には入れなくてもいい。心に描いたことを現実にできるのが魔女なら、自分だってりっぱな魔女です。

―『マリはすてきじゃない魔女』p164、柚木朝子・作 2023、エトセトラブックス

 

私が昔読んでいた児童文学では、子どもが町を救ったり何か立派なことを成し遂げたりして大人までも救ってしまう、という展開が多かったですが、この作品では大人たちが社会を良くした先に子どもが活躍できる未来がある、ということを教えてくれます。

マリみたいに最後まで成長せず怠け者でも最高な主人公になれるし、偉大な何かをしなくても楽しい毎日を送ることはできる。

誰もが自分らしくいられることを大切にしたい気持ちが強い私にも、「より良くあろうとしない人」にたいするもやもやが発生してしまうことはよくあって、そこにも気づかされたお話でした。

 

 

文責:赤松かおり
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赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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