かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」54

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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

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「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、Books&cafe トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、54回目は陽文庫みずいけさんです。

54のブック

「明るい覚悟 ―こんな時代に」落合恵子

発売: 2020/9/7
著者: 落合恵子
出版社: 朝日新聞出版
サイズ: 四六判
ページ数: 256ページ
ISBN: 978-4022517005

ご存知の方も多いかと思いますが、作家であり、東京や大阪でオーガニックレストランや、クレヨンハウスという子どもの本の専門店を主宰している落合恵子さんのエッセイです。

【「明るい覚悟」とは、老いや衰えのさなかにありながら、さほど多くは残されていない明日に向けての、自分との約束という意味でもある】p247

後ろ向きでもなく、崖っぷちでもなく、決意とまではいかないが、小さく心に決めたような感じがしてきて、タイトルの「明るい覚悟」良い言葉だと思います。

本書に出てくる「ただの人」というくだりも良いです。(ちょっと渡辺京二さんの「無名の人生」という本を思い出します。)

【一見、異彩を「放つ」ように見える、あのひとも、このひとも、みんな「ただのひと」。わたしたちの多くがそうであるように、しょうもないことに悩んだり、迷ったり、躓いたりしながら、再び起き上がっては、なんとか今日を明日につなごうとしている、そんなひとりに違いない…。
そう思うようになったからかもしれない。
そういう意味で、心からの共感と敬意をこめて、「ただのひと」と呼びたい。そして、「ただのひと」がもっとも素敵だ、と。】p41

落合恵子さんは現在75歳(もしくは76歳?) 、若い頃とは違う自身の状態と日々向き合います。本書は落合さんが作る日々のご飯の様子や身近な友人知人とのエピソード、大好きな庭仕事の話(ときどき政治やデモの話など)を交えながらの日々の記録です。

目次は全て動詞
○脱ぐ
○刻む
○泣く
○放つ
○抗う
○受け入れる
○する&しない
○病む
などなど。

記されている動詞で人生の全ての場面を説明することはできないですが、各動詞を自分にも置き換えてみて、今までの人生の場面と照らし合わせてみるのも面白いかもしれません。

私事ですが、最近父が肺の病気にかかり1〜2ヶ月入院することになりました。去年は、確か循環器の具合が悪くて母が手術をし、入院しました。中年以降は衰えがつきもので、自分も周囲の状況も、いつまでも今と同じ状態でいられるのではなく、なくしていくこと、減っていくものが多いかと思います。

新しいものを求めるより、今までの人間関係を大事にしたいというような落合さんの記述もありましたが、今自分の手元にあるものを大事にするということが大切なのかもしれません(寧ろそれで手一杯な気もする)。

「ただのひと」が何より尊い、という落合さん。まだ30代の私が読むには早い本かもしれませんが、色々なことが起こっても【生きている限り生きていかなければならない】私達の心を支えてくれるような一冊かと思います。

おわり

文:みずいけあきら(陽文庫)
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あさのは商店

姫路生まれ・姫路そだち。姫路→大阪→徳島→姫路。
肌の弱い自分が必要なものを近くで買えるとうれしいなーと、肌にやさしい日用品「あさのは商店」をしています。
趣味は、ウクレレ・縫い物・言葉の観察など。

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