かきくけコラム :「イマハ、ドコデスカ?」07


imaha

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。

第7回目「ゆっくり ゆっくり」

いろんな国のいろんな人と出会うなか、わたしが現地の人から教わる言語で印象深い言葉がある。とある国では「ユートユート」、またとある国では「クレークレー」。また日本のある地域では「ヨンナーヨンナー」という。それらはすべて「ゆっくり、ゆっくり」を意味する。

なぜ、わたしは現地でこの言葉を知り、覚えることに至ったのか。それは、わたし自身が現地の人からよく「ゆっくり、ゆっくりだよー」と言われていたからだ。どうやらわたしは、彼らからみると急いでいるようにみえるらしい。別に急がなくてもいいのに、何かに追われているわけでもないのに、気づくと無意識で早足になっていたりする。
「なにをそんなに急いでいるの?もっとゆっくり進みなさいよ。」彼らはわたしにこの「ゆっくり」を投げかけるとき、いつも笑いながら「クレークレー」とか「ユートユート」とか言ってくる。彼らが暮らす時間は、なぜだかいつもゆっくり穏やかにみえる。

「今」と「先」の時間軸

かといって、彼らが毎日のんびり暇で、ぼーっとしているかと言えばそうではない。むしろ、文明がそこまで進歩していない地域に住む彼らは、自然と共に生き、いつも身体を動かし朝から晩まで自分たちの役割作業をこなしている。彼らの歩むペースは、いつもゆっくり「今」というところに意識を向けて、大切に毎日を生きているように感じる。はたまた今の日本を見比べてみると、便利なものに囲まれ生きているにもかかわらず、なぜか時間に追われ、時間の流れがあまりにも早いからなのか、忙しそうにバタバタと「先」を急いで生きているように感じる。

「今」をみるか、「先」をみるか。きっと同じ環境に属していても、みている時間軸が少し違うだけで、気持ちの意識というリズムは全く違ってしまうように感じる。ネット社会となって、情報があまりにも多くて、時々その波に飲み込まれてしまうわたし。どんどん「先」をみて「今」をおろそかにしていることにふと気づくたび、彼らの「ゆっくりだよー」の笑い声を思い出す。ふと、深呼吸したくなることがある。

いま出来る「ゆっくり」

気付けばもう4月、春です。どんどん気候もあたたかくなって、新学期や新しいスタートがたくさんの場所ではじまるとき。バタバタと準備をしていたり、新生活リズムに必死になっていたり、今いろんな時間を過ごす人たちがいるのではないでしょうか。

4月のスタートというと、どうも先を気にして時間に追われて忙しくなってしまうものかと。だけど、時間に流され目まぐるしく生きて息切れしないように、少しゆっくり立ち止まる時間があっても良いのかなぁと思うわけです(わたしがそうだから・・・)。

今頃は桜が咲き始めているのかな?姫路城のまわりはとっても賑やかにお花見を楽しむ人であふれているのかな?そんな想像をしながら、今この文章を書いています。日本は季節を楽しむ習慣があること、それがとっても美しい文化だとわたしは思います。桜が咲く様子、桜の花びらが散る様子、忙しく動きまわらなきゃいけなくても、たまにはゆっくり歩いて、桜を眺めてみてはどうでしょう。きっと「ゆっくり」の時間を味わうひとときを、桜の木が教えてくれるような気がします。

最後に、わたしはこの「ゆっくり」を表す言語が大好きです。「クレークレー」「ユートユート」「ゆっくりゆっくり」「ヨンナーヨンナー」、英語でいう「スロー」もそうだけど、これらを一度、よかったら声に出して読んでみてください。個人的意見ですが、これらはとっても穏やかなニュアンスに聞こえてくる。言語自体は違うけれど、言葉の意味に込められた想いや言霊は、世界共通なのかなぁと感じています。いつか、どこかまた違う言語で「ゆっくり」に出会うとき、わたしも笑ってその言葉を彼らに返せるように、今を大切に生きてゆこう。ゆっくり、ゆっくり。

文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎 http://ameblo.jp/katuragimanabiya/

公開日 : 2017-4-5
最新更新日 : 2017-4-4