かきくけコラム :「イマハ、ドコデスカ?」11


imaha

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。

第11回目「受け継ぐもの」

9月、秋の空へとうつり、涼しい風が吹くようになりました。涼しくなると、どうも外に出かけたくなる・・・そんな今日このごろ。

「懐かしい未来」というキーワードで、世界中の暮らしをのぞき見するのが趣味のわたしですが、地図を持たず、知らない街を歩くことが好きです。ぶらぶらと、ひたすら歩く。途中みつけた商店でパンと飲み物を買って、たまたまみつけた公園や広場でのんびり本を読みながらパンをかじって。たまたま出会った地元の人と他愛もない話をしたり、そこで思わぬドキドキする情報をもらったりなんかして。わたしは「偶然」のなかに秘められたドキドキを求めていつも旅をしている。

時を刻む建築物

感覚のおもむくままに街を歩く楽しみのひとつは、いろんな建物を間近で観察できること。現代建築よりも、昔から大切に使われている味のある建築物が好みなのですが、建物を含め、景観をとても大切につくられている街に出会うと、とても嬉しくなる。とくに、石畳の路地や石を積んでつくられた建築物は、何年、何十年、何百年の歴史が刻まれていて、石を触らせてもらうだけで顔がにやけてしまう。

上の写真は、以前ペルーのクスコを訪れた際に出会った石の建築物。インカ時代に建設されたものだが、スペイン軍が占拠した際に、この立派な石積みの上に現在の土やレンガでできた建築物を建てたらしい。この時代背景はさておき、こうして昔の建築物が今も残り、大切に市民が住まい、街全体で管理され、後世へと受け継がれている取り組みは、いまの時代、見習うところが沢山あるように思う。

家も生きている

先日、車を走らせていると、とある木造建物が解体されている現場に出くわした。それは、昭和初期に建てられた立派な日本家屋だった。車を降りて、解体されている家を覗かせてもらうと、昔ながらの建具や立派な梁がどんどん壊されていた。よくみると、当時の大工さんが施した墨が床板から顔をだしている。解体されていく建物・・・これをつくったひとの知恵や技術も一緒に壊されていくようで、みていて悲しい気持ちになった。

古いものをどんどん壊し、現代風の建築物が建ち並ぶ日本。住まいのカタチもどんどん変化していき、最近立ち並ぶ家々も、昔とは随分変わってしまったように思う。一見新しいものは美しくみえる。だけど、今の建築物は新築のときが一番輝いていて、どんどん汚れ、やがて朽ちていくように思う。

昔の建築物は、時代とともに育ち、味を増していく。木も土壁も呼吸をしている。木は磨くとピカピカに息を吹き返す。時代とともに美しさを増す建築物・・・昔ながらの家とともに生きていた当時の人々は、知恵をだし、風土に合った暮らしを営んでいたに違いない。

たしかに、新しいものはとても便利だと思う。だけど、便利だけがいいことじゃないと、昔の建築物は教えてくれているように思う。だからこそ、今から建てる建築物や景観は、目先のことに囚われず、どんなものを後世に受け継ぐのか、しっかりと考えプランを立てる必要があるように感じる今日この頃。

いま、皆さんは姫路の街を歩いてみて、好きな景観はありますか?

涼しく過ごしやすいこの季節、街を眺めながら、ぶらりと歩いてみてはどうでしょうか。ゆっくり景色を眺めることで、新しい発見や美しいものに出会うかもしれません。そして、その美しいものに出会ったとき・・・それらがいつまでも後世に残るように、大切にできる取り組みが地域全体で広がることを願って。

文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎
HP:https://katsuragi-manabiya.jimdo.com/
ブログ:http://ameblo.jp/katuragimanabiya/

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公開日 : 2017-9-6
最新更新日 : 2017-9-5