毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、3回目はトキシラズ山本さんです。
農業をしている人
先日トマトの苗をいただきました。姫路のneccoに行ったとき、たまたまいらっしゃった、“アルデナイデ農園”のよこはたほくとさん。氏のされている“トマト部”で植えきれなかった苗で、「サンマルツァーノ」という、主に加工用のトマトだそう。さっそく家の畑に植え替え、今のところ元気なご様子。
何人か農業で身を立てている人(立てようとしている人)を知っていますが、皆さん謙虚で、勤勉な学生のような人が多い印象があります。おそらく、自らの知っていることは解き明かされた‘自然’の一部にすぎない、まして‘自然’はいまだ解き明かされていないことの方が圧倒的に多い、そのような考えの姿勢が、彼らの立ち振る舞いに現れている。勝手にそんな気がしています。
そんな訳で、今日は農業をしている人に勧めてもらった本をご紹介。
03のブック
「食べることも愛することも、耕すことから始まる-脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活」クリスティン・キンボール
邦題長い!(原題は『The Dirty life』)。
著者のクリスティン・キンボールはマンハッタンに住む都会的なライター。たまたま取材で有機農業をしているマークと出会い、いつしか二人は同じ農園を持つことを夢見るようになる、というのが話の骨子。有機農法をすることが、どれくらいハードなことで、どのくらい豊かな食をもたらすのかをとても楽しい文で描かれています。難しい農法の話はほとんどないので、農業について少し知ってみたい、という人にもおすすめです。また、農業に全然興味がない人にも、生活スタイルの全くちがう二人の、一風変わったロマンスとして楽しむこともできます。またまた、農業にもロマンスにも興味ないって方には、土地を探すことから始まる、ある農園の奮闘ノンフィクションとしても面白いのです。
出自も考え方も違う。大切にしてるものも、物の買い方、付き合ってきた人、友達、違う物だらけ。違うからこそ一緒にいるのか?そうでもないのか?二人の夢の農園はできるのか?ぜひ楽しんでみてください。
次回は陽文庫さんです、トキシラズ山本は次々回にお会いしましょう。
文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ