かきくけコラム :「イマハ、ドコデスカ?」20

imaha

毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「懐かしい未来」をキーワードに、豊かな暮らしや生き方を模索する、いまいみきさんのコラムです。

第20回目「馬と暮らした日々」

馬に乗って生活したい。それがわたしの夢、いや、目標です。

そんなことをいうと、たいがい「何言ってんだ?」みたいな顔をされます。でも、わたしは本気で、馬に乗って暮らすイメージをしながら生きています。そんな話に、このコラムの編集さんが興味を持ってくれたので、今日は、わたしが暮らした馬との日々と、今後の野望について、お話ししようと思います。

だいすきな馬との出逢い

わたしは学生のとき、モンゴルで馬にのって生活をしていたことがあります。もともと、馬というよりは、絵本「スーホの白い馬」にでてくる馬頭琴に興味があったわたし。いつかモンゴルの草原で、彼らの演奏を聞いてみたい…!そんな想いで学生時代、バックパックをかつぎ、新鑑真号という中国貨物船にゆられ、船酔いになりながら中国列車にゆられモンゴルへ行きました。そして、とあるご縁で、遊牧民のひとたちと「遊牧民の大移動」をすることに。とはいえ、馬に乗ったことがなかったわたしが、なぜ馬に魅了されたのでしょうか。

初めて乗った馬は、とても大きな馬で、乗り降りするのもやっとの背丈でした。歩きだすと、それはもう必死で手綱を握り、足は踏ん張り、初めはへんな力が全身にかかりながら、あとは、群れとなって移動する遊牧民の彼らについていくのみ。馬から下りると膝がガクガク笑ってうまく歩けない。その様子を流し目でみている馬と、歩けないわたしをみて大笑いする遊牧民たち。膝は笑うけど、笑えない自分。初日は、必死でした。

ですが日が経ち、馬に乗って生活をする暮らしにも次第に慣れてくると、「馬と一体になる」そんな感覚を徐々に感じることができるようになってきました。馬とともに、風をきってモンゴルの草原を走った日々。一体になっていると、自分がバランスを崩しそうになったらスピードを緩めてくれたり、おりた後もそばに寄ってきてくれたりして、とにかく可愛いのです。馬に乗って走りながらみる草原の景色、馬の足音や鼓動、におい、馬の背のあたたかさ、そして優しい目。馬という存在をこんなにも愛しく思うとは、思ってもみませんでした。

そして、馬に乗り移動した後も、無事に一日乗せてくれた馬に感謝し、餌を与え、ブラッシングをすることを教えてくれた遊牧民たち。彼らとの生活もわたしにとってはとても刺激的でした。日がおちる前に簡易ゲルを組立て、電気も水道もない広い草原の下で、火をおこし料理をしてごはんをいただくこと。なんにもない夜のじかん、火を囲みながら、お酒を飲みながら馬頭琴と唄が風にのって大地に響く様子。見上げれば広い空。またたく星が天平線(モンゴルの草原は、天に近い空という由来から、地平線ではなく天平線というと彼らから教わりました)に広がり、それはまるで宇宙にいるような感覚。いつまでも星を眺めながら、疲れた身体中がじわじわと解放され、心と身体が満たされていくのを感じる遊牧民の彼らと馬との暮らし…その一瞬一瞬の美しさに感動したのでした。

もう一度、馬と暮らす日々を

馬と人が一緒になって生きる、はじめてみる世界。馬と暮らした日々から約15年たちますが、あのときの気持ちの良い解放感を今も忘れられずに生きています。だから、たまに「馬に乗りたい」「馬に会いたい、馬と暮らしたい」という衝動にかられております。ただ、それは日本だから無理だろうと、ここ最近まで実は諦めており、なんならもう馬と暮らすために外国で暮らそうと、妄想計画まで進めておりました。

そんなとき出会った「かつらぎ自然のまなび舎」のあるお山。実はありがたいご縁から、まなび舎の近隣にあるフィールドを譲っていただきました。初めて公に書きますが、わたしたち家族は、その土地に自宅である山小屋を建て、馬を飼うという計画を進めております。というものの、馬はまだお山にはいません。もちろん、家もまだありません。でも、きっと近い将来、わたしはあのお山で、家族と仲間と馬と共に暮らしているでしょう。そして、もうひとつイメージしていることがあります。それは、娘が家から馬に乗って「山と畑のまるごとえん」に通うことです。こうなればいいな、はきっと実現するとわたしは信じています。

近い将来、馬が来たー!と嬉しそうなわたしに会ったら、ぜひ一緒に笑ってください。

文責:いまいみき
かつらぎ自然のまなび舎
HP:https://katsuragi-manabiya.jimdo.com/
ブログ:http://ameblo.jp/katuragimanabiya/

あさのは商店

あさのは商店

姫路生まれ・姫路そだち。姫路→大阪→徳島→姫路。
肌の弱い自分が必要なものを近くで買えるとうれしいなーと、肌にやさしい日用品「あさのは商店」をしています。
趣味は、ウクレレ・縫い物・言葉の観察など。

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