毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、33回目はトキシラズ山本さんです。
33のブック
『どこかでだれかも食べている』オノ・ナツメ
トキシラズとしては、秋から年末にかけては出店シーズンです。あっちこっちで魅力的なイベントが催されますので、お声をかけていただければ出来るだけ出向いて本を売りたいと思っています。てくてくひめじさん主催の「てくてくWEEK」もこのコラムが世に出る頃には開催中ですね。どんな感じになるのか今から楽しみです。
さてさて、そんなイベントの花形といえばなんといっても食べ物ブースじゃないでしょうか?お店のイベントでしか食べられないメニュー、まだ店舗のない店の貴重な一品、食べ物の前にはいつも人だかりがあり、並ぶ人の顔には「早く食べたい!」という気持ちが、湯気のようにポワポワでているようです。
そして、イベントも半ばになるころにはフード出店の人たちは『売り切れ』の看板を出し、他のブースを見て回ったり、出店者同士談笑したり。そんな光景を見ながら、私は「今日の本は売り切れちゃったんです、すいません」と言ってみたいなぁ、なんて空想をふくらますのです。
というわけでもないですが、今日のオススメは食べ物のマンガです。21編の短編集で、そのどれもが食べ物を軸にしたエピソードになっています。
『どこかでだれかも食べている』
発売日: 2018/11/16
著者: オノ・ナツメ
出版社: 文藝春秋
ページ数: 143ページ
ISBN: 978-4163909387
作者オノ・ナツメさんのマンガに出てくる食べ物はとっても美味しそうです。とはいえ、精密に書かれているわけでも、味を想像させるようなレシピ紹介がある訳でもありません。どちらかというと大味な線です、なのにこんなに美味しそう!これは天才的な食べ物絵センスにより、ふっくらしたものをふっくらと、ホクホクのものをホクホクに描いているというのもありますが、なんといっても食べるシチュエイションの設定が抜群にうまい。
冬の朝市で食べる朝ごはんは大きい焼き芋。予定のない長期休み、シリーズ物のDVDを見るときには山盛りのポテトサラダと白ワイン。もっとシンプルに夏・山・カレー。など、なんとも絶妙なメニューがめじろおしです。食べるの好きなそこのあなた!きっと幸せな気分になる一冊ですよ!私は、正月休みにポテトサラダと白ワインの予定です。
文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ