毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

1年に何度かある「第5週目」の水曜日にだけそっとていねいにつづられる、宮下ひろみさんの本についてのコラム「五週目のほんばこ」の6回目です。
『るきさん』 高野文子著(ちくま文庫)
今回ご紹介する本は、高野文子著 『るきさん』 (ちくま文庫)です。
ちょうど30年前、昭和から平成に変わる頃、女性誌に連載されていた漫画です。
私がるきさんに出会ったのは学生時代。「なんとなく(あなたに)似てるんだよね」と友人から手渡された。
似てるかどうかはさておき、面白く、楽しんで読んだ。
そうしてしばらくすると、また別の友人から「絶対これ好きやと思う!」と勧められた。また読みたくなったので、今度は自分のを買いに行った。
その後も別の人から勧められたり、私が勧めたりで、かれこれ20年。随分年上のお姉さんだった(推定年齢は30代半ば)るきさんの年齢を追い越した。
同じく主人公の名前がタイトルの「すーちゃん」シリーズ(益田ミリ著 幻冬舎)も好きだ。
すーちゃんが恋や仕事に悩んだり、友人との関係にモヤモヤしたり、励まされたり。共感ポイントがとても高く、よくぞ描いてくれました!と思いながら読んでいる。
一方のるきさんは共感、というのとは少し違う。発想が独特で面白いのだ。何度も読んでいるのに毎回あはは、と笑って力が抜けてしまう。
恋、と呼ぶにはちょっと的外れな自転車屋のお兄さんと、友人は裏主人公とも呼ばれる悦子さん(えっちゃん)一人のみ。この二人との掛け合いで、るきさんの生活の楽しさが際立つ。
梅雨時のるきさんの暮らしぶりが好きだ。
毎日雨続きで嫌になっちゃう‥そんな時にはパラリと読んでみてください。ジメジメした気分が吹き飛ぶことでしょう。
文:宮下ひろみ