毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。
第10の発見 過去を悔やんでしまう人へ:『不思議の国のアリス』1865
<あらすじ>
少女アリスは、懐中時計を持った白ウサギを追いかけて、ウサギの巣穴に落ちてしまいます。
不思議の国に迷いこんだアリスは、びんに入った飲み物を飲んで体が小さくなったり、キノコを食べて首が伸びたり。
水タバコをふかす青虫や、三月ウサギと帽子屋、チェシャ猫、ハートの女王、ウミガメモドキ、などナンセンスなキャラクターが次々と登場し、冒険を繰り広げます。
<心に響く言葉>
「さあ、こんどはあんたの冒険ぶりを聞かしてもらおう」
「けさはじまった冒険のことなら―――それなら話せるわ」
とアリスは少々おずおずとして言いました。
「でもきのうにもどるのはだめよ。きのうのわたしは別の女の子だったのだから」
『ふしぎの国のアリス』ルイス・キャロル作、生野幸吉訳、福音館書店、1865、p157
大人になると、子どもの頃と違って、成長しているのかしていないのかよくわからなくなり、くよくよしてしまうことがあります。
しかしコップに一滴一滴水がたまるように、自分では見えなくても、誰でも少しずつ変化し続けています。
受験や就職、人間関係などでも
「なんであんなことをしてしまったのかな?」
「こうしておけばよかった・・・」
などとつい過去を悔やんだり、自分を責めたりしてしまいますが、同じ人でも数ヶ月前、数年前では、内面や環境が変化していて、アリスが「昨日の私は別人だった」と言うように、きっと自分でも別の人のように思えるでしょう。
過去を悔やんだり、「今のこの方向で間違っているのかな?」と未来を不安がったとしても、そのときの自分とはまた変化しているので、今悩んでも仕方がありません。
別の自分が、選択して決断したことだと思えれば、必要以上に自分を責めたり後悔したりしなくて済むはずです。
時間はかかっても、自分で一つ一つ成長に気付きながら、その時その時なりに選択して道をつくっていくしかないのだと思います。
文責:赤松かおり
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