毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
毎月第3週目のコラム「くらしとしごと」。書いてくださるのは、神河町長谷でコワーキングスペースkajiyanoを運営する山口なおさんです。
第9回 くらしとしごと 「世界を旅して、Uターン」（会社員/元旅人 林田直樹さん）
毎月第２土曜日にコワーキングスペースkajiyanoで開催中の「くらしとしごと」のイベントレポートと次回の予定内容について書き綴っていきます。
今回のゲストは、神河町福本在住の会社員・林田直樹さんです。外資系企業に就職し、横浜で何不自由ない生活を送っていたなか突如退職、30歳で海外放浪の旅へ。東日本大震災を機に帰国し、石巻でのボランティア活動を経て神河町にUターンし、現在は2児の父。
“ドロップアウト”の経緯、旅のエピソードやそこでの気づき、今後の暮らしや夢をお聞きしました。
林田さんとの出会い
神河町内で活動している子育て自主サークルさんの活動のひとつに、畑の活動があります。長谷の畑を借りてもらって、月に１、２回活動している「つちのこ」の活動の中で、私たちもゆるく関わらせていただいています。週末はお父さんたちが参加されることもあり、林田直樹さんとはその中で出会いました。
「結婚前は放浪の旅をしていた」と聞いたことがあったので、いつか”くらしとしごと“のゲストに出てもらいたいなぁと思っていました。
放浪の旅に出るまで〜帰るまでのお話
林田さんは神河町福本の生まれ。「田舎を出て街に出たい」と大阪の大学へ進学。卒業後は横浜の会社に就職。途中で「若いうちにチャレンジしたい」と外資系ベンチャーに転職。仕事で外国人と関わるようになり、海外へ旅行も行くように・・。と、少しずつ世界が広がっていたそうです。
横浜での生活はおしゃれなデザイナーズマンション暮らし。週末は六本木のクラブ、仕事もプライベートも充実。世間から見て「95点」と言えるほどの生活でしたが、自分の中の世界がどんどんと広がって行くにつれ、何かが足りないと感じるように。
「一度きりの人生、後悔なきよう自分の中での大きな事を、思いっきりやってみたい。」
初めの２、３カ国は大体決めて行ったそうですが、あとは現地で情報を仕入れて思うまま気の向くままに。
そして少数民族が暮らす村を訪ねたり、紛争のイメージが強い中東諸国を回ったり。実際足を運んで目で見てみると、ニュースで知る世界とはまた違った一面が見えてくることも。中でもイエメンはとてもフレンドリーで好きな国の一つになったそうです。
初めは１年くらいのつもりが、気づけば３年。「長男だから、いつか実家に帰らないとなぁ」という気持ちもありつつ、残りのお金も底が見えてきたマレーシア滞在のときに転機が訪れます。2011年の東日本大震災。
残りのお金で半年ほど旅を続けることはできましたが、「このお金でボランティアに行こう！」と帰国することに。旅の中で知った石巻のNPO法人を訪ねます。
石巻でのボランティア活動
生々しい震災の爪痕が残る石巻。初期のボランティア活動に求められるのは、家のヘドロの掃除、炊き出しや救援物資の配給など、まず生きる上で必要なサポート。
それが落ち着いてくると、遊び場づくり、夏期講習の実施や子どもたちのためのプール掃除などの精神的なケア。
その後は、短期のボランティアの方への指導や震災を風化させないための観光案内、と段階によって変化していったそうです。
石巻に深く携わった半年間は、余震に怯えたりテント暮らしで寒さに震えたり、被災者の方々の人生の岐路に直面したりと、海外での3年と同じくらい濃く、非日常でしたが、今の生活の礎にもなっているそうです。
神河町に帰ってきてから〜これからの夢
2012年１月に地元の神河町へ帰ってきてからは、デザインの勉強をして、家具屋さんに就職。ネットショップ運営を中心に海外へ買い付けも。
2013年春に、語学力と海外の知識を買われて今の会社に就職。2014年には石巻のボランティアで出会った直子さんと結婚し、今では二児のお父さんです。
直樹さんの実家がある福本地区はとても行事が盛んですが、「地域のことは今までやってこなかったので、今できることはやろう！」と積極的に参加されています。そして今では「田舎の暮らしと伝統と絆を大事にしていきたい」という思いも。
これからの夢は？
「子どもたちが元気に育ってくれるのが一番。」
「あ、子どもが小学6年になったら夏休みに南半球を一緒に旅してみたいですね」
きっと、お子さんもグローバルな感覚を持った大人に育つのではないかと思います。これからが楽しみな林田家です。
●次回のお知らせ ＃12●
3/14（土） ゲストと内容は交渉中です。お楽しみに！
くらしと、しごと。それぞれがどう関わり合い、人生の豊かさにつながっていくのか。ちょっと立ち止まって考えてみるひとときになれば幸いです。
