毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。
第27の発見 あいまいなものが苦手な人へ:『こんとん』2019
今回ご紹介するのは、古代中国の「荘子」にでてくる一節「渾沌、七きょうに死す」をもとにした絵本です。
作家の夢枕獏と漫画家の松本大洋というビッグネームの合作という点でも興味をひかれます。
<あらすじ>
目も鼻も口も耳もない不思議な生き物、「こんとん」。かわいそうに思った南海の帝と北海の帝が好意で目耳鼻口となる穴を空けてあげると、こんとんは死んでしまいました。
<心に響く言葉>
じぶんの目で見る きく かぐ じぶんの口でかたる
それはなんだか とてつもなく たいへんなこと だったんだろうね――― P32『こんとん』夢枕獏文・松本大洋絵、 偕成社、2019
常識の枠におさまらない、何かよくわからない、こんとん(渾沌=混沌=カオス)を一つの型にはめたら死んでしまう。
私たちはよくわからないもの、理解できないものに出会うと、あるがままに受け取ることができず、無理やり自分の物差しに当てはめようとしてしまいます。そして親切のつもりで行ったことが、かえって相手を苦しめることも・・・。
よく分からないということは、不安で怖いことでもあります。
それにマニュアルをつくって安心したいというのは不自然なことではありません。
でも現実にはコロナ禍のように、生きる上で想定外のことや
理不尽なこと、意味がわからないものに直面することはとても多いです。
予想できない、答えのだせないことに白か黒か強引に答えをあたえず、その状態とつきあっていく力も
必要なのではないかと思います。
文責:赤松かおり
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