かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」48


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第48の発見:童心にかえりたい人へ『子どもと一緒に覚えたい 木の実の名前』(2021)


10月は童心にかえって楽しみたい本をご紹介します。

<心に響く言葉>

どうしてタネを遠くに運んでもらいたいかといえば、親子共に
生き残るためだ。(中略)
つる性のアケビは他者を利用して、伸びていく性質のため、
もし近くに我が子が生えれば、我が子が自分に寄りかかり競争に負けて枯れるかもしれない。
人も植物も子どもは親元から離れた方が上手くいくのかもしれない。

―『子どもと一緒に覚えたい木の実の名前』p47、小南陽亮・監修、加古川利彦・絵 2021、インプレス

「えっ!どんぐりって『どんぐりの木』になるわけではないの?」
と1ページ目から驚かされます。

子どもの頃、木の実って特別な存在で、出かけた公園の地面にぱらぱらどんぐりが落ちていると「どんぐりだー!!」と喜んで拾っていたものでした。

この本は、木の実ひとつあたり4ページ、リアルな挿絵・写真に、幹や葉、花、相棒(風、野鳥、昆虫など、
木の実を遠くに運ぶ助けになるものたち)といったテーマで、簡単なコラムが添えられており、図鑑としてもそれぞれの木の実を比較して見られます。

ケセランパセランの正体は柳の種の綿毛。
クスノキが「ナンジャモンジャ」と言われるのは、もはやいつからそこに生えていて、
なんの木がわからないほど長生きしているから。
そして葉脈のところにいくつものダニポケットがあり、ダニを住まわせている・・・(ゾーッ)。

色んなうんちくを楽しく学ぶと、大人になると気に留めなくなった木の実に興味がわいてきて、童心にかえって木の実拾いに出かけたくなります。

文責:赤松かおり
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赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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