毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、最終回・77回目は陽文庫みずいけさんです。
77のブック
『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』枡野浩一 左右社
『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』
発売日 : 2022/9/23
著者 : 枡野浩一
出版社 : 左右社
ページ数 : 384ページ
ISBN-13 : 978-4-86528-099-9
歌人の枡野浩一さんによる短歌集です。
枡野さんのような人生を送ってきた方には、心臓の左心室にまで届く歌集かと思います。切ないけど、笑える。笑えるけど、切ない。そんな歌集かと思います。
宜しかったらぜひ一読ください。
このコラムでは、何首かピックアップして歌を紹介し、私の頭の中で巡ったことを書きます。
「毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである」
毎日誰かとは話しているけれど、ほんとうに話したいことから一番遠いことから話していることが多い気がします。
挨拶したり、業務の連絡、店の予約、これからの予定の擦り合わせなどもするけど、表向き自分の話したいことから遠い順番で話すことが、社会人、大人としての正しい振る舞いと決められているような‥と。
手紙と会話なので違うものではありますが、どこか芯をくらわない感じが似ているような‥と。
「「ネコ缶」と「シャケ缶」それは「雪女」と「雪男」より似て非なるもの」
むかし、EXILE好きの幼なじみの女性がいて、クリスマスプレゼントに【ATSUSHIの手形】と書いた【陽の手形】をその子の家に投函したことがあるのですが、めちゃくちゃ激怒されたことがありました。【ATSUSHIの手形】が好評?を得たなら、次は第2弾として未確認生物【ビッグフットの手形】という名の【陽の手形】も用意していたのですが、それはさすがに大人しく引っ込めたのでした。
雪男といえば、このエピソードを思い出します。我ながらロクでもない人間だったなぁと。
「努力とは希望を持っている人にだけゆるされたまぶしい助走」
口が動く、腕が2本ある、家がある、文字が読める、明日のご飯に困らない、学校に行く体力がある、努力を始めるにも何かしらの諸条件がいったりいらなかったり。
仕事は大変だけど、そもそもやるべき仕事がないと仕事の努力もできないし、子供がいないと子育ての努力もできないし、などなど、と。
「本当は売れたいくせにそのことを隠すから駄目なんだと思う」
自分のことじゃないか!と身につまされる。
「有名な画家の絵だからすばらしい値段を知るとなおすばらしい」
これまた自分のことじゃないか!と身につまされますが、評価の後追いをするというか、自分では価値判断はせずに、人様がつけた価値や評判を盲目的に受け入れてしまうというか。
評価や評判というと、私はそのむかし、女性を紹介してもらうという段では、会うところまではなかなか行けず、その前段階の「友達御前会議」でハジかれていたのでした。
「陽はちょっと紹介するには‥」と、いつになっても知らされない連絡先。紹介を頼んだのに全く動いてくれない男友達。だいぶ後年になってから、全ては自分の素行不良、天然成分、己の行動由来によるものだと気づいたのでした。
「ファミリーがレスってわけか真夜中のファミレスにいる常連客」
「我々とあなたが言ったその々に私のことは含めないでね」
このあたりの歌も、私は好きです。
「流行が終わるころには新作の発表がある世界の病気」
「なぜ人を殺しちゃだめか仲なおりする可能性をつぶさないため」
昨今の社会情勢にまたぴったりの歌ですね。
最後に
「待ち人は来ない自分で会いに行けこのおみくじは当たる気がする」
神の社におわす人が、もはや近所のパイセン(先輩)か会社の上司くらいに思える、この訓示。
しかしながら、こちらの方が余程信じるに足るような‥と。
みなさま、今年のおみくじ、どんな結果だったでしょうか?
どんな一年になるのかわかりませんが、それはまさに神のみぞ知るですね。
おわり
計77回、足掛け少なくとも6~7年、今回でトキシラズ山本君とかわりばんこで書いていた「てくてくコラム」は終了です。
サヨウナラする記念すべき回に、最後がこのコラムで良いのか!と思案せんでもないですが、またどこかで‥と言いつつ、引っ越しをするわけでもなく、特に住所なども変わらないので、さして‥名残惜しむこともないのかなぁ‥と。
長きに渡り掲載して頂いた、てくてくひめじ管理者さまありがとうございました。文章のアップをしてもらっていたRさんも。
では、みなさまお元気で!
(って、そのあたりにいますけどね‥)
ばいちゃ✋です。
文:みずいけあきら(陽文庫)
陽文庫-アキラブンコ Facebookページ
ブックブックこんにちは Facebookページ