毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんによる「本をめとらば」を引き継ぎ、今回から、みずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」が始まります。1回目は山本さんです。
本の虫ではなかった
コラムを隔月で担当させてもらいます、トキシラズの山本です。
今年から、陽文庫さんと一緒に毎月の最終日曜日の朝10:00~ ブックブックこんにちは という本を読む楽しさを、少しでも、誰かに、なんとかかんとか伝えたい!というイベントをしています。
そんな私は(実は陽文庫さんも同じ!)子供のころから本の虫だった、という訳ではありませんでした。マンガばかり読んでいました。「文字ばかりの本より、絵も文字もある本の方がお得!」とか考えてました。
そんなふうに20歳くらいまで過ごした私ですが、転機が訪れます。自分の部屋の中で本棚をながめているときに、ふと「この本棚は、何となく馬鹿っぽいんじゃないかしらん?」と。
だれに見られるという訳でなし、問題ないのですが、急に誰か来るかもしれません(具体的には知的な美人)そう考えると一刻も早く本棚を活字の本だらけにしなくては、という焦燥に駆られました。
01のブック
「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル
しかし、そう簡単に読書習慣が身に付く訳でなく、かといって、読んでない本を棚に並べるのは持ち前の自意識が許しません。それは、なんかむなしいじゃない。
そんなとき、友人にすすめられて『シャーロックホームズ』のシリーズを読みました。これが、私の読書観を一変させます。
簡単に言うと、面白かったわけです。読むことが手段(イカした本棚をつくる)ではなく、目的となったのはこのときが初めてだったように思います。
ただ楽しむために読む。それは今も変わることはありません。その楽しんだ結果や過程で、考え方を広げられたり、何かを得たりしている。かもしれない。けど、とりあえず、私はただ楽しむために読む。今日も同じ。
シャーロックホームズの読みどころとしては、何と言っても推理です。ホームズは靴やズボンのしわで、依頼人の仕事や犯人の癖をばんばん的中させます。「それはどうでしょう?」という推理もありますが、気にしてはいけません。
1900年くらいのイギリスが舞台です。このころは造船の発達により海外から様々な情報が入ってきたのでしょう、私たちの感覚では「そんな馬鹿な?」と思うところも出てきます。気にせず、ワクワク感だけ味わいましょう。
それから、近年、映画や海外ドラマでシャーロックホームズのリメイクがたくさん出てきています。原作を読んでおくとより楽しめること請け合いです。
最後に、このシリーズを読むとついつい実生活でも人の仕草、言動などを観察・推理してしまいます。だいたいハズレていますので、心の中で思うだけにしましょう。ではまた次回。
文:山本岳史(トキシラズ)
http://tokisirazu.exblog.jp/