かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」07


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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、7回目はトキシラズ山本さんです。

読み間違え

突然ですが皆さん、読み間違えってしますよね?しない?私はね、割と間違えますよ。
例えば、「やちむん」。沖縄の焼き物です。でもね、「やむちん」って言いたくなる。っていうか言ってた。むしろ「やむちん」の方が収まりがいいとさえ思っいてる。

それから、「カトラリー」を「カラトリー」。ここ数年で巷に広まった「カトラリー」という言葉。「カトラリー」に煮え湯を飲まされた人は多いんじゃないかと思います。もう「食器」でいいじゃない!と思っている方も多いのではないでしょうか。

07のブック

「一年ののち」フランソワーズ・サガン

さて、本にまつわる読み間違いで思い出深いのは、フランソワーズ・サガンです。映画『ジョゼと虎と魚たち』の中で池脇千鶴さんが読んでいた本。それがサガンの作だと知り、探していました。タイトルはわからず、ヒントは登場人物の名前がジョゼとベルナールということ、そして映画の中で読まれた小説の一部が頼りです。普通ならすぐに探せそうですが、なかなか見つかりませんでした。なぜなら、ずーっとフランソワーズ・カザンだと思っていたからです。

なので神戸の古本屋で見つけたときは嬉しかった。フランソワーズ・カザン!(正しくはサガン)古い版なのでフルネームで表記されていて、奇跡的に同じ読み間違い。ページをめくると、映画で読まれていた感動的な一節、そして登場人物にベルナールとジョゼ。間違いない、これだ。私はレジに急ぎました。

レジのおじさんは、若い男にしては珍しいと思ったのか、古い小説をよく読むのかと私に尋ねました。私は「そうでもないですが、カザンが好きで。カザンのこの本を探してて、見つかってよかったです」といい、お店の方はただゆっくりと「そうですか、サガンが好きなんですね」と答えました。

店を出た後、会話に違和感を感じ、袋の中の本を取り出すとそこには当然フランソワーズ・サガンの文字、私は叫びながら中華街を走り抜けたい気分でした。

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発売日: 1958年3月
著者: フランソワーズ・サガン
訳者: 朝吹登水子
出版社: 新潮社
サイズ: 単行本

これが私が探していた本です。とても美しい小説です。享楽的とも思える恋愛劇でありながら、その情熱と矜恃は気高い。素晴らしい物語ですが、私は、買った時の恥ずかしさを思い出し、どうしても物語に集中できないようになってしまいました。どうか皆さん、私の代わりにこの物語を、普通に味わってください。そして、お間違いなきように、フランソワーズはサガンです!

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文:山本岳史(トキシラズ)
ブログ ブックカフェ・トキシラズ

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公開日 : 2016-10-12
最新更新日 : 2016-10-12