かきくけコラム :「ブックブック こんにちは」10


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毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

「陽文庫-アキラブンコ」のみずいけさんと、ブックカフェ・トキシラズの山本さんがかわりばんこにつづる、本にまつわるコラム「ブックブック こんにちは」、10回目は陽文庫みずいけさんです。

10のブック

「美味礼賛」ブリア・サヴァラン

発売日: 1996年(新装版)
著者: ブリア・サヴァラン
出版社: 白水社
サイズ: 単行本
ISBN: 978-4560045930

約420pにもわたる同書。
大作です。

毎回コラムにあげる本については、今まで読んだことあるか、もしくは必ずコラムを書ききるまでに一度は読破するのですが、正直に言うとこの本に関しては読破せずにコラムを書いています。

というのもなんせ、本が分厚い!
そして内容が少し難解!(人にもよると思いますが…)

何度も何度も手に取って、そのとき気になった章を読み始めるのですが、なかなか完全コンプリートは難しく、読書も途切れ途切れになってしまってるのが実情です。

なので、これから長いスパンで考えていつか読み終えたらよいかな〜と考えています。
それくらい重厚で肉厚な内容になっていると思います。

避けては通れない本

美味礼讃。
なぜこの本を紹介しようかと思ったかというと、食に関する本を何冊か読んでいると、必ずとはいいませんが、この美味礼讃という本に関して何か書かれていたり、文章の一部を引用したり紹介したりしていて、「聞いたことないけどすごい本に違いない!」
と思ったのがキッカケでございました。

何人か知り合いの飲食関係者に聞いたのですが、読んだことある人もいなくて、知っている人さえいなかったのですが、そのときにふと食通芸人であるアンジャッシュの渡部さんの言葉を思い出しました。

「食の道を、どの道を極めてもその先には寺門ジモンさんがいる…」
と。渡部さんも芸能界ではかなりの食通で名が通っていると思うのですが、ネイチャージモン(寺門ジモンさんの通称)は常にその先を行っていて、どんな名店を渡部さんが見つけても、もう先にジモンさんが見つけていて、もう店にも食い込んでいる…と。

何じゃそりゃ…と思われそうですが、美味礼讃にはジモンさんと同じものをほのかに感じたのです。「避けては通れない道なんだな」と。

渡部さんと寺門ジモンさんを引き合いに出すと、なんだかふざけた感じになってしまいますが、通過儀礼的でもなんでも良いので、一度は通らなければならない道だ!と思い本書を手に取りました。

目を引く目次

内容を一部紹介します。

目次、面白いです。
●うまいチョコレートを作るのはむずかしい
●揚げ物の理論
●料理店における美食家
●料理店主について
●鮪(まぐろ)のオムレツの作り方
●フォンデュの作り方
などなど。美味礼讃は1825年にフランスで出版されましたが、この時代にもうこんな考え方があったのか、と少し驚嘆してしまいます。

時代とのギャップもすごいですが、それだけではないのが本書。食べものに関する本なのに(?)、こんな項目に関しても記述あり。
●嗅覚の味覚に及ぼす影響
●人間の至上権
●美味学の政治学に及ぼす影響
●渇きについて
●やせすぎについて
などなど。小難しいというか、表現がものものしいというか、話をそこまで拡げるか!と思われるような記述も多数見受けられます。

果てには、死についての記述、世の終わりについての記述まであり、そんなとこまで気にしてくれているサヴァラン氏はよっぽど粘着気質というか、執着が強い人間なのかなと僕は思いました。食を中心にここまで話を拡げるかと。

食=生

でも言い換えてみると、それくらい「食べる=生きる」ということが密接に繋がっているということなのかもしれません。「食とは人生なのだよ」とサヴァラン氏は言いたかったのかもと。

というか、政治家で法律家でもあるサヴァラン氏は完全なブルジョアジーで、食べれたらいいというよりはかなりの享楽家だと思いますが、(実際に文章中グルメ過ぎるのが鼻につくきらいも少しありますが…)、とにもかくにも妥協を許さず、ただただ純粋に食について考えていた人であることは間違いありません。

食べログなどの発達?により、今は飲食店を選んだり、評価する基準もお洒落かどうか、こだわりがあるかどうかなど細かいとこに目がいきがちですが、まずは栄養があって食べれるものというのが大切で、そこから値段とか美味しいとか盛り付けとか、接客云々があるのかな〜と、当たり前ですが、ふと思い直しました。

少し細かい差異を気にしすぎかなと。

そして洋食だったり、和食だったり、お酒、ケーキを食べたい時間帯に食べたい分だけ食べれる料理店というシステムはなんてすごいのかと。

だれでも自分の仕事や遊びの事情によって好きな食事ができ、旅行者や外国人、一時家族が田舎に行っているというような人、つまり台所がないような人でも食事を味わうことできる。

ヨーロッパにおける料理店の発達理由も元々このあたりにあったようで、その環境を今は当たり前のように享受してますが、その環境に少しだけ感謝した方が良いのかもしれません。

あまり細かいことは言わないように。
食べれるだけありがたいのじゃないかと。

本書の趣旨とは少し違うかもしれないですが、本書を読んでみてふとそんなことも思いました。

手なづけるのは大変な本ですが、生きてる間に一度、手に触れてみてほしい本かなと。

おわり

文:みずいけあきら(陽文庫)
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公開日 : 2017-1-11
最新更新日 : 2017-1-11