かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」30


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第30の発見 個性がないと悩んでいる人へ:『じぶんだけのいろ いろいろさがした カメレオンのはなし』1975

9月は「自分には個性がない」と悩んでいるカメレオンのお話をご紹介します。

<あらすじ>
可哀そうなカメレオンは悩んでいました。どうして他の動物のように、自分の色がないのだろうか?
行く先々、周りの環境で色が変わってしまう・・・。

<心に響く言葉>

かれは かなしい みのうえ ばなしを した。
「ぼくらは どうしても じぶんのいろを もてないんだろうか?」

――― P20『じぶんだけのいろ いろいろさがしたカメレオンのはなし』レオ=レオ二作・谷川俊太郎訳、 好学社、1975

最近は、若い時からやりたいことや自分の個性がはっきりわかっていて、ちゃんと準備して新卒で自営やフリーになって活躍している方もたくさんいらっしゃいます。
しかしながら、私の場合はやりたいこともなく、親族にもサラリーマンしかいなかったので、大学出たら会社に入って…みたいなことに何の疑問も抱きませんでした。
そうして就職したものの、全く適性がなかったため辞めてしまい、なんの準備もなしになし崩し的に自由業になってしまいました。
それでもお客さんの注文に応え、こつこつ仕事を積み重ねてきて、なんとかやっていけるようになってきたものの、
あるとき「このまま注文に応えているだけでいいのだろうか」「自分にしかできない個性や仕事ってなんだろう」と考えるようになりました。

この本を読むと、カメレオンの悩みがなんだか自分の悩みとぴったり重なっていて、とても驚きました。

カメレオンは色がない自分でも「ずうっと葉っぱの上で暮らせば、ぼくも色が持てる」と気づきます。
ところが、葉っぱも秋がくれば黄色や赤に変わっていく。
安住の地だと思っていたその場所も、どんどん変化していく・・・。

私たちも、何かの組織とかコミュニティとか、そこに所属してなじんでいればそれで一生安心というわけではなく、そこも時や情勢と共に変わっていってしまいます。

30過ぎて「自分探し」(!)なんて口にするのも痛いことかもしれませんが、自分もひとつのものにしがみついていないで、ずっとやっていきたいと思えるものをさがしたい、他人の目を気にしないで「自分探し」を完結させたいと、絵本のカメレオンに立ち止まって考えさせられました。


文責:赤松かおり
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赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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