毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。
1年に何度かある「第5週目」の水曜日にだけそっとていねいにつづられる、宮下ひろみさんの本についてのコラム「五週目のほんばこ」の16回目です。
16個めのほんばこ|『おむかえ』ひがしちから・さく(佼成出版社)
みなさん、こんにちは。
春ですね。
娘の入園をひかえ、私は楽しみとドキドキ半々の日々です。
そんなわけで、今回ご紹介するのは、保育園に入園したばかりの男の子のお話
「おむかえ」
ひがしちから 作
佼成出版社 2015
です。
こたろうくんは、朝おかあさんと離れてからずっと泣いています。
先生が声をかけても、外に出ても、給食のときも。そしてお昼寝の時間。こたろう君はいち早く布団にもぐり込んでしまいました。
でもさみしくてねむれません。
するとだれかがそうっと手をにぎってくれました。
安心したこたろうくんは眠くなり、夢を見ました。だいすきなおかあさんと園庭で遊んでいる夢です。
おかあさんはこたろう君のことをたくさんほめてくれました。目が覚めるとおかあさんはいません。
また泣いちゃうのかな?
あれ?泣きません。それからあと、こたろう君は全然泣きませんでした。
おむかえの時間がやってきました。
おかあさんです!おかあさんの声を聞いたら、こたろう君の目から我慢していた涙がぽろりとこぼれました。
おかあさんが迎えにきたとき、こたろう君が
「おかあさん、ぼくね、なかなかったよ。
ちょっとないたけど・・・、なかなかったよ!」
と言うところが私は好きです。めっちゃ泣いてたやん!ってつっこみ入れたくなるけど、
がんばったよ!っておかあさんに伝えたい気持ちがすごくわかります。
半年前、入園を不安がる娘に園の楽しさが少しでも伝わるといいなと思って幼稚園や保育園の生活が描かれた絵本を探しました。たくさん読みましたが、この本が、娘の気持ちには一番ぴったりきたようで、何度も繰り返し一緒に読みました。「悲しかったら、こたろう君みたいに泣いていいんよ。少しずつ少しずつ慣れて、楽しくなっていくからね。」という言葉も何度も繰り返して伝えています。自分にも言い聞かせながら。
文:宮下ひろみ