かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」43


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第43の発見:あったかい気持ちを届けたい人へ:『長い長いお医者さんの話』収録「郵便屋さんの話」1931

 

4月はあったかい気持ちを届けたい人に読んでほしい本をご紹介します。

<あらすじ>
郵便局でうたたねをしてしまった郵便局員のコルババさんは、夜中に郵便局員の格好をした小人たちが、
手紙を札にしてトランプをしているのを見つけます。
心のこもってない手紙は冷たく、書いた人の愛情があればあたたかいので、小人たちは、手紙を持っただけで、書いてある内容がわかると言います。
そして、心のこもった手紙ほど、強い札になるというのです。

<心に響く言葉>

「最後に一等つよいポイントの札は、」
八ばんめの、かわいらしい年よりの小人がつけ加えました。
「人が、まごころをこめて書いた手紙、これがそうなのです。
だからこの札は、ほかのどの札よりもつよい。たとえばですね、コルババさん、
母親が子どもにあてた手紙だとか、人が自分自身よりも、
もっとだいじに思ってる人にあてた手紙だとか、まあそういった手紙ですね。」
―『長い長いお医者さんの話』収録「郵便屋さんの話」p68、カレル・チャペック 1931、岩波少年文庫

小中学生のころはしょっちゅう友達と手紙のやりとりをしていて、
かわいいレターセットを集めたり、学校から帰ってポストをのぞいたりするのがとても楽しみでした。
授業中に、別のクラスの友達に手紙を書いて、昼休みに配達に行ったりも。
毎日会ってるのによくあんなに書くことがあったなあと思います。

それなのに、大人になった今、出す手紙といえば、請求書など無機質なものばかり。
手紙自体書くことも少なくなり、メールやLINEで済ますことも多いです。
しかし、やはり手紙のほうが、紙の手触りや直筆の文字で書いた人のあったかい心をより届けられるような気がします。
そんな手紙を久しぶりに書いて届けたいと思うあったかいお話でした。


文責:赤松かおり
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赤松 かおり

赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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