かきくけコラム :「大人にも響く子どもの本 」19


毎週、てくてくひめじ界隈で得意な分野を持つ方々にコラムを書いていただくコーナー「かきくけコラム」。

小さなころから本好きで、常に本を持ち歩く子供だったという姫路在住のイラストレーター、赤松かおりさんによる、大人になってからこそ読みたい子供の本、「大人にも響く子どもの本」はじまりますー。

第19の発見 不安な気持ちになっている人へ:『だいじょうぶ だいじょうぶ』(1995)

9月にご紹介するのは、これまでの常識がぐらつく今、不安な気持ちになっている子ども、そして大人にも頼もしく響く絵本です。

<あらすじ>
「ぼく」が今より赤ちゃんに近く、おじいちゃんが今より元気だった頃、ふたりはいつものんびり散歩を楽しんでいました。
大きくなってくると、ぼくの平和で小さな世界はどんどん広がっていきました。
一方で、いやなこと、怖いことに出会うようになり、なんだかこのまま大きくなれそうにない、と思えるときもありました。
でも、おじいちゃんはいつもぼくの手を握り、つぶやいてくれるのでした。
「だいじょうぶだいじょうぶ。」

<心に響く言葉>

「だいじょうぶだいじょうぶ。」
それはむりして みんなと なかよくしなくても いいんだって ことでした。
「だいじょうぶだいじょうぶ。」
それは、 この よのなか、 そんなに わるい こと ばかりじゃ ないって ことでした。

―――P23『だいじょうぶだいじょうぶ』いとうひろし作・絵 講談社 1995

おじいちゃんと男の子が散歩の途中で毎日いろんな物事に出会う話です。
見慣れないもの、ちょっと危ないと思うことに男の子は不安や心配を感じますが、そのたびにおじいちゃんは「だいじょうぶだいじょうぶ」と言ってくれます。
「だいじょうぶ」がそのたびにぼくの中に染みていきます。

悪いことが起きないわけではありません。
たとえば意地悪されても「だいじょうぶだいじょうぶ」、「それは、むりしてみんなとなかよくしなくてもいいんだってことでした」。

事故やケガや未知の病気が不安なときも、もう一歩踏み出す勇気が出ないときも、おじいちゃんと繰り返す「だいじょうぶ だいじょうぶ」が乗り越える勇気をくれます。

「よのなか、そんなに わるい ことばかりじゃない」って、目を開かせてくれます。

毎日テレビやSNSから流れてくる情報を見ていると、
この先の世の中で生きていけるのか大人でも気がめいりますが、

子どもや10代20代の若い人も「大人になってもいいことなんて何もなさそうだ」と思ってしまうのではないかと思います。

不安を煽ったり怖がらせたりするだけでなく、おじいちゃんのように若い人に「世の中悪いことばかりじゃないよ」って伝えてくれる大人って、大事だと思います。

幼いころの不安な気持ちをなだめてくれるだけでなく、その言葉が大人になっても支えてくれる、お守りのような絵本です。


文責:赤松かおり
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赤松 かおり

本とお散歩と食べることが大好きなイラストレーターです。webやフリーペーパーなどで、イラストを描いております。

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